十億のアレ。~吉原いちの花魁~【描き下ろしおまけ付き特装版】
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十億のアレ。~吉原いちの花魁~【描き下ろしおまけ付き特装版】

宇月あい

6巻まで読了

ネタバレ
2020年5月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 登場人物達からさり気なく名言が出てくるので、いつもハッとして我が身を振り返り考えさせられます。人間は衣食住と身の安全を社会に頼ることでしか得られないけれど、心は生涯自由を選択できる。もし今私が不自由を感じているならば、それは自ら支配されること(依存すること)を望んでいるからだと思っています。無意識であれ、私は自分に依存を選択するのを許したくないので、支配と被支配者、自立と依存についてあらゆる角度から認識できるようになりたいです。山吹花魁がアザミに与えた課題は、吉原に限らず人間社会を自立して生きたいと願う者にとって避けては通れないものだと思います。吉原に頼らなければ生きられないアザミが、これからどう自立した人生を獲得していくのか見ものです。絵柄は独特ですが、とても美しくて老若男女問わず色気があります。線に無駄がなく分かりやすいのに、繊細な印象もあります。ストーリー自体の面白さは賞をとったほどなので、折り紙付きです。個人的には糀谷さんの闇が想像していた以上に深くて、彼がどこまで堕ちていくのか気になるところです。堕ちるところまで堕ちないと浮上は難しいのでしょうか。早くアザミの前から消えて欲しいです。そしてアザミと三倉には幸せになってほしいと思います。三倉ってほんといい奴ですよねぇ。6巻ラストの三倉の言葉に、7巻が待ちきれない私です。
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