わたしの幸せな結婚【分冊版】
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わたしの幸せな結婚【分冊版】

顎木あくみ(富士見L文庫/KADOKAWA刊)/高坂りと/月岡月穂

高評価が多い中すみません

ネタバレ
2020年6月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ どうしても主人公が受け入れられません。ではわざわざコメントを残すな、とのご指摘があったとしてもごもっともだと思います。しかしながらこういった主人公、女性の物語が高評価されることで少なからずではあるかもしれませんが、日本人女性の立場が悪くなっていく未来が予見されるのでコメントを残しています。

この主人公はたしかに不幸な境遇に生まれ育ったのでしょう。しかしながら、その他の登場人物がその内面を深掘りされていない理由で、全くの不幸でないとは言い切れません。人の世は往々にして残酷で、誰しも不幸な面を持っています。

そして彼女は、この物語において子どもではありません。それなりに人生を重ねてきた女性なら思い当たる節がおありでしょうが、自分の絶望を打破する王子様やラッキーな境遇は、全て自分の主体的な行動ありきで、それも時には何かのおまけのような形で現れるものです。歴史が物語っています。

そういった描写や心の動きがこの主人公にあるでしょうか、いいえありません。まず最初に心の動きや感情の機微に目を向け、行動するのは全てヒーローです。よってこの漫画は、ヒーローの旦那様が主人公として相応しく感じるのです。しかしレビューをしているのも女性、そして主人公も女性ときたら、読者はタイトルからして「そうですか、これが女性の幸せな生き方ですか」と勘違いします。ただ自分を変えず、不満でかわいそうな顔をし続けていたら、誰かが助けてくれると思っています。残念ながら今の社会に、そんなシステムはありません。想像しうる最悪の可哀想で例えるなら、ホームレスの方も自分で生き抜く術を探さなくてはならない日々です。

本当にこの女性ような生き方が魅力的でしょうか。そこは個人の主観に委ねられるので深く追求しませんが、これをタイトルで「幸せな」と表現されているところに、大変な女性蔑視を感じます。この主人公が、形式的な幸福を手に入れたのは、描かれ方としては運です。物語初めの方の不遇も運でありますが、その後の流れも全て運ですよね。これを幸福とするならば、「女性は運命に従うのみの、運命の奴隷である」と受け取れます(そこまでは考えておられないかもしれませんが)。

タイトル、幸せな、ではなく幸運なら、ここまで熱くならなかったと思いますが、どうしても気になり思いの丈を書きました。不快になった方がいたら、深くお詫びいたします、
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