猛き黄金の国 岩崎弥太郎
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猛き黄金の国 岩崎弥太郎

本宮ひろ志

今こそが激動の時代

2007年12月8日
幕末以降にかけての、三菱という閥を築き上げた岩崎弥太郎の物語である。いつの時代でも、その時に生きている者にとっては、今こそが激動の時代であろうが、この時代も特筆すべき事柄が多い。ひとつの秩序が変化する時の人の行動の刹那感の増幅と、乱れの蔓延を画くのも腕のみせどころだ。とにかく人間とは解りにくいものである。人を助ける人間もいれば、人を殺す人間もいる。更には一人の人間で両方おこなう場合もあろう。愛は崇高だと多くの人はいうが、人に与える愛と、人から与えられようとする愛とでは大きな異なりがある。そして、人は皆、両面を持っているのだ。つまり人間の二面性なのである。自己の人間としての成長度、人と人との結びつき、周囲の環境、社会の流れ(今では世界の流れ)などなどによって、人はどちらかの面を出し入れして、勝負していくのであろう。過程を充実させていってこそ実現できる結果を求めて。
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