白椿
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白椿

斑月

白椿と雪化粧の江戸に咲いた義賊と同心の恋

2020年7月4日
時代物BL短編。顔は私の目にはイケメンではない(顔面の小皺の散らばり具合、身体の肉付きの線など描き込み過ぎが鬱陶しくリアルで、夢が減る)が、浮世絵の大首絵っていうのか江戸時代的には男前のよう、そんな風情の二人の道ならぬ恋。
椿や雪の白は余り活かされてるとは言いがたいが、雰囲気のある話。また、助けに入ることになる屋敷の童が、奇妙な話風にかんでくる。
今日「紅椿」なるタイトルのBLを読んだので関連有るかと思ったら、皆無だった。どちらも時代劇、椿は、「椿三十郎」、「五瓣の椿」、「散り椿」ではないが、何故に侍の出てくるストーリーなのかな。

このストーリーはあっという間に終わって割高感はあるものの、内容はなかなか珍しいところを狙って成功している。

絵には、江戸の家屋を少し上空、屋根の上から見たアングルから入るなど、ネズミ小僧の舞台を描こうとしている意図は素晴らしいが、二人の間の恋情に、少し詩情が足りなかったようには思う。
葛藤や心意気、童の存在の不可解さなど、もっと表すべきものを視覚に、訴えて欲しかった。

しかし、正義感に於いては、その方向は少し異なっていたけれども共に分かち合える気性の持ち主同士、いい組み合わせだ。レビューで、ハピエンと確かめてから買ったので、まずい買い物ではない。

細目の線が針のように沢山のコマで過剰に入っている気がする。そこがうるさい。もっと絞ってくれないと効果が上がらないのでは?
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