このレビューはネタバレを含みます▼
出逢った時は、上品で孤高な雰囲気通りの紳士的な雰囲気そのままの、丁寧で敬語での閨シーン。それと、彼の本業の顔が少し知れてからの、権力や地位を持った者の有無を言わせない、端的で命令形に近い言葉遣いのギャップに悶えました。
普段の言葉遣いも閨でのシーンの語気の強い言葉もヒロインを強く求める切望が現れて居て、今まで己の本当の目的以外には何の執着も持たなかったヒーローが、ヒロインの優しさや律儀さ懐の深さと芯の強さに引かれて行く姿に心を動かされました。
ヒーローが暗躍する魑魅魍魎蠢く政財界の権謀術数に巻き込まれるヒロインに、とてもハラハラさせられましたが、それも読後には物語の良いスパイスと成りました。ヒロインの、それでも彼の側に居たい、愛し続けて生きたい、と想いを言動に移す姿は、ある意味強い爽快感を感じられました。竹を割ったような。
決着が着いたときの、ヒーローの怨敵・宿敵の「年を重ねると業を下ろしたくなる」と言う言葉は世のとおりの真実だと思いました。