【全1-6セット】ひざまずいてワンと啼け【イラスト付】
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【全1-6セット】ひざまずいてワンと啼け【イラスト付】

佐原佐/天路ゆうつづ

明るいラブコメを期待すると肩すかし

ネタバレ
2020年7月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み放題。
作者の作品をネットで読んで楽しかったので、別作品で書籍化されたというこちらを読んでみたけれど、正直期待はずれだった。
タイトルでコミカルな感じかなと思って読み始めたら、序盤は割と胸糞展開だし、ヒロインとヒーローが出会ってからは、ヒロインが元婚約者との関係の失敗を悔やんだり、ヒーローは母の死後、母のフォロー手段が悪手で人間関係こじらせまくりで、早々に両片思いのくせにすれ違うというわりとシリアスよりな内容だった。本編終了後の番外編でやっとタイトルノリになったかなという感じ。
故に番外編まで読めば読後感はいいけど、途中はフラストレーションがすごいので、お気楽気分で読みたい時にはオススメしない。
しかし、コメディにしたくて書いたのだろう、ヒロインの国の関係者とヒロインの性知識ゼロ要素は作品の邪魔でしかなかった。ヒロインの国は大国に囲まれた弱小国らしいのに、国を治める王族や上級貴族があれだけアホばっかりというのは無理がありすぎる。国王はどがつくアホ、王太子もアホ、ヒロインの父親はどアホ国王の言いなりで、宰相は汚職に塗れてる上に、復讐と言って好きだった女の娘を他国に送りつけて純潔奪わせようとしたとか。アホばっかり。王妃とヒロイン祖父が王を支えてましたみたいな描写があるけど、そんな国王置いて高頻度で城を空ける王妃というのも結局はアホだよね。そこは外交官とか監査官とか送れよ。これで作中では教育水準の高い国と言われても、説得力が全くない。
ヒロインも最初は王太子妃となるべく教育を受けていたという割に、性知識ゼロっていうのは無理がありすぎて。そのくせ同国の子女であるヒロインの同級生は恐ろしく詳しい描写があったりと、ちぐはぐ。
正直、普通にヒロインは政略で嫁いで、ヒロインとヒーローのすれ違いをメインに、心が通っていく様を丁寧に書いてくれたほうがよかったな。本当にヒロイン背景邪魔でしかない。
あと、ヒロインの性格や言動がシーンごとにばらつきがあるのも気になった。序盤はしっかりしてる感じだったのに、ヒーローの国に来てからは多くのシーンでお子様化している。一応ヒロインの方が限りなく18歳に近いという年上設定なのに、大半の言動は高校生どころか小中学生レベルで年上要素台無し。
ヒーローは表紙はワイルド系だが、実際はヒロインより年下の16歳で、わんこ系なこじらせで可愛いかった。
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