このレビューはネタバレを含みます▼
ひとりなら、恋い焦がれる相手がいなければ、こんなに淋しくはないのに。『この人』以外の誰かを愛せたら、せめてもう少し心穏やかでいられるのに。後ろめたさを感じる事なく愛する人から愛されて、他者から手放しで祝福されるって奇跡なのかと心底思わされる作品。危ういながらも何とか保ってきたバランスが崩れ始めて、どうにか持ち堪えてきたそれぞれの痛みが更に増して来て、誰の気持ちにも共感してしまうから今まで以上に読み進めるのが苦しいけれど、5人がどんな結末を迎えるのか見届けたくて目が逸らせない。願わくば個々に抱える痛みや淋しさが少しでも軽くなってくれるものであればと思う。