お嬢様はお仕置きが好き
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お嬢様はお仕置きが好き

もりなかもなか

SとMの申し子みたいな恋人達の聖域

ネタバレ
2020年7月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 元々別のペンネーム時代から好きな作家さんでしたので、今回キス以上の展開てんこ盛りの新作に、自分へのご褒美かと目に涙、手に汗浮かべて読ませて頂きました。確かに他のユーザー様のご指摘通り、非現実的展開やご都合主義的な設定もあるので、好き嫌いがハッキリ別れると思います。好きな子をなんで叩いちゃう?それを悦ぶ主人公なに?って不快になる方にはお勧めできないほどの変態祭り。衝撃的なのは、丁寧な描き込みと可愛い絵のタッチにまさかの、SMプレイ。お尻叩きから縄縛り、首輪つけてお座りに、ワンとまで吠えちゃう主人公。16巻時点で本番はありませんが、途中これでもかと、異常な溺愛束縛系美男子からくすぶられるエロスの嵐に、成人向け作品以上の官能さだと翻弄されていきます。ただ欲情して、突っ込んで、みだらに乱れて...だけでなく、深層心理的な所まで丁寧に描かれているので読み応えは抜群です。
ちなみにSMのSはサディストの略ですが、一説ではサービスとも捉えられます。つまり、要求に応え、満足させる役割。よくある俺様で自分本位にマウント取ろうとする不快感はこの夏樹くんには一切なく、後者の意味合いの方が強く出ているように感じます。自分はサイコパスなのだと認識し、サディスティックな行為をサービスする紳士。4Sですよ。そんな彼に愛される主人公は、Mの申し子のような、魅力的で、マゾで、ちょっと間抜けで、とにかく満たされてゆく桃子。この作品は、他者の文句や常識はもはや意を成さない、恋人達の聖域を終始見せつけられてる感。夏樹くんの授業の延長を覗き見している感もあります。お嬢様はお仕置きがお好き。私は、そんな2人を見るのがお好き。今後の展開に目が離せません。
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