砂の城
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砂の城

一条ゆかり

44歳と28歳になる前に

ネタバレ
2020年8月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公ナタリーは自立しておらず、エキセントリックかつエゴイスティック。若い恋人は世間知らずで視野狭窄、年齢の割に稚気が強い。
主人公が若さと美しさとを失う前に退場させる道が、唯一のハッピーエンドであったわけです。あくまでもナタリー視点の話ですが。
いずれ泣くのは難しい。

辛口になる理由の一つは、幼い頃は非のうちどころこのない美少女であったナタリーが、歳を重ねるごとに顔の輪郭が縦に伸び、頬がこけ、さらに髪型がその縦長を強調する事で、30代前半なのにすっかり老けて見えたことです。
あらゆる非難を捩じ伏せる圧倒的な美しさで、日常から隔離してほしかった。
「その男の子の、どこがそんなによかったの?」
と疑問を挟む余地を許さぬように。
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