きみが死ぬまで恋をしたい
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きみが死ぬまで恋をしたい

あおのなち

戦争の虚しさを思い知らされる

2020年8月4日
3巻まで読了。孤児院で暮らす少女達の生活は総じて平穏だ。しかし戦争で人を殺すことを課せられた少女達の生命は儚い。親しかったクラスメイトやルームメイトが、日常的に傷付き、死んでいく。戦地に赴くのはとても怖いし、人を殺せば煩悶するのは当然だ。戦争なんて終わって欲しいと願っていても、戦争の駒である彼女達には、殺し合うしか選択肢が無い。孤児を戦闘員に育成して戦争に駆り出す仕組みは極めて非人道的だが、戦争の末期には実際に起こり得ることだと思う。日本でも第二次世界大戦の終盤に学徒出陣が行われた。大人達が始めた戦争に、国の未来を担うはずだった子供達を送り込み、死なせる。誠に罪深く、虚しいことだと思う。現実世界に目を向けてみると、国同士の諍いは絶えず、戦争の火種は燻っている。どれほど分かり合えなくても、思い通りにならなくても、次世代に平和を引き継ぐためには、武力衝突だけは絶対に避けなければならないことを、本作を読んで改めて思い知らされた。
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