古城が呼ぶ愛
」のレビュー

古城が呼ぶ愛

レベッカ・ウインターズ/松尾しより

話としては面白いと思うが読後感はイマイチ

ネタバレ
2020年8月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 期間限定読み放題。
子供の頃ヒロインを可愛がっていた祖母が、周りに反対されながらヒーロー祖父と再婚し、渡仏。以後ヒロインとは音信不通、ヒロインの一族とヒーローの一族は仲違いの状態に。ヒロインも恋に溺れた祖母のようになるなと恋愛に対して厳しく育てられ、恋人もないまま27歳になっていた。そんなある日、ヒロインの勤め先にヒーローが現れ、祖母の死を伝えるというところから始まる話。
前半は祖母とヒーロー祖父の結婚の真実とそれぞれの家族の間で起こった確執の原因探し、後半はヒーローの消えた妻を捜しだし、二人の間にはだかるヒーローの既婚者という壁を取り除けるかを柱に、主役二人が惹かれ合う様を描いている。
そういう意味では見どころは多いのだが、ヒーローが既婚者だったことで、主役二人が結ばれるにはヒーローの妻は邪魔者。では、妻をどうするのか?というところで、この作者は殺してしまったのが感じが悪い。これが主役二人が知り合う以前に判明していた事実なら、まだ過去の出来事としてヒーローの心変わりも受け入れやすいのだが、行方不明中にヒロインと恋に落ち、妻の死亡が確認されて埋葬されたら、あっという間にヒロインの元へ行き再婚。せめてもうちょっと期間置くとか、即再婚することに妻への申し訳なさとかないの? 妻が浮気してたとかヒーローを嫌って出て行ってたとかならまだわかるが、誘拐殺人の被害者だよ? ヒーローは妻に愛情なかったの? 仮に恋愛結婚でこの扱いだと、ヒロインと結婚してもヒロインが死んだら即別の女に乗り換えそうで気分悪かった。
この話でヒーローを既婚者にする必要はあったのだろうか? 他所の感想で、ヒーローが既婚者なのは祖父母の関係に照らし合わせたかったのでは?というのを見たが、そうすると祖父母も互いに既婚者状態の時に肉体的には浮気しなかったけど、精神的には浮気してたとも取れて、祖父母にまでモヤモヤが募り、ますます読後感が悪くなってしまった。
そもそも祖母はヒロインに会いたがってたのに、ヒーローはじめ20年も関係放置。祖母が死なないとヒロインに会いに来ないっていうのもなあ。それで責めるのはどうなんだとか。ヒーロー祖父も不和の原因が自分にあると分かっててダンマリとか、色々感じの悪い部分のある話である。
絵が美しいので、読書中は七難隠されている感じだが、読み終わって落ち着くと冷める要素が散見される話だった。
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