天堂家物語
」のレビュー

天堂家物語

斎藤けん

続きは気になるが、話づくりはイマイチ。

ネタバレ
2020年8月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 7巻まで読了。続きが気になる作品ではあるが、安易な展開が目立つ。例えば、ヒロインが暴漢に攫われた先に、偶然かつて命を助けた伯爵令嬢がいて、救われるというくだりは、話が出来過ぎていて、杜撰としか言いようがない。女中が自死するくだりは、唐突過ぎて呆気に取られてしまった。そこからヒロイン追放に至るスピード展開も驚きだった。時間をかけてじっくり描くべき所をサラッと流している。そのくせ、新聞記者見習いの顛末といった、話の本筋から逸れたどうでもいい話にページを割いている。また、思い余ってヒロインを組み伏せたり、母親を惨殺した首謀者を見つけ出し復讐するために、ヒロインを実質的に生餌として利用している主人公に好感が持てない。ツンデレのラインを超えていると思う。そんな主人公を命に代えても守りたいと決意する、死にたがりのヒロインにも共感できない。主要登場人物に感情移入できず、ストーリーも意外性はあるが説得力に欠けるため、本作に高評価は付けられないと判断した。
いいねしたユーザ4人
レビューをシェアしよう!