花嫁にはなれない 【電子特典付き】
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花嫁にはなれない 【電子特典付き】

火崎勇/サマミヤアカザ

官能小説?

ネタバレ
2020年8月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 火崎先生のファンです。今回もとても素敵な作品でした。しかし、なぜこの作品がR18指定なのか分かりません。他サイトではそんな指定無かったし、他レビューによると講談社のサイトではTL小説の分類だそうで。正直この作品よりもえげつない(あるいは無意味に多い)エロシーンのTL小説はたくさんありますから、それならそういったものもR指定を入れて欲しいくらいです。火崎先生の作品は、基本的なストーリーはしっかりしていて、その上でエロシーンも入ってくる感じなので、むしろほとんどロマンス小説だと思います。そう言えば、ロマンス小説の分類で読んでみたら、わりとハードなTL小説でびっくりしたこともありました。シーモアさんでは、もう少し現状に即した分類は出来ないものでしょうか?

以下、作品の感想です。あらすじを読んだ時、マイフェアレディ的なストーリーかな?と思い、他のレビューでもマイフェアレディやプリティウーマン(マイフェアレディの現代版と言われている)のようだとありましたが、主題が似ているようで少し違うと私は思いました。確かに設定はわりとマイフェアレディで、ヒロインがレディになるかどうか、賭けの対象になる部分も同じ。ヒロインを教育するヒーローと恋に落ちるという設定も。でも、最初ふたりの貴公子のどちらがヒーローかはっきりしないところや、最後のどんでん返し(と書くと大げさですが)もこの作品のオリジナルとして良かったのですが、いろんなものを失って気力も無くした不遇なヒロインが、ヒーロー達の働きかけや経験を通じて、自分自身や大切なものに対する想いを取り戻して行くというストーリー(レディ教育はそのための手段でしかない)は、単純にレディ教育をもってヒロインの自立を主題としたマイフェアレディとは似て非なるものかと思いました。こちらの作品の方が切なくて優しいと感じます。もちろん、マイフェアレディはこれとな異なる作品として、素晴らしいとは思いますが(余談ですが、プリティウーマンは作品として微妙だと思います)。素敵な作品なのでぜひお勧めしたいですが、指定のおかげで読みにくいのが本当に残念です。
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