小木くんのなつやすみ【電子単行本特典付き】
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小木くんのなつやすみ【電子単行本特典付き】

こいかわ

無意識下の

ネタバレ
2020年8月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みで盲目の男の子とゲイの男の子という珍しい組み合わせと可愛い絵柄に惹かれ、お話も気になったので単行本を買いました。

普段レビューを書くことは全く無いのですが、この作者の方のマイノリティ(読んだ後だとそう形容するのもナンセンスな気がしてくるけどそれしか言葉が見つからないので)に対する考え方がかつてないほどフラットで驚きました。

まず主人公のセクシャリティがとても複雑…好きなのは男の子、でも女の子だって嫌いな訳じゃない(というより経験が無いから分からない)、ネイルをして、化粧をして、女の子がするような格好もしてみるけど女の子になりたい訳じゃない。
主人公を好きな女の子の仕事は明らかになってないけど、仕事帰りはシンプルな服装なのに大学にはロリータで登校している。
そして盲目の男の子は言動から察するに目が見えない事をマイナスには受け取っていなくて、ナチュラルに人に頼るのが上手い。お兄さんもこの弟の事を「目が見えない普通の弟」として扱っていて、特に気を遣う様子はない。

主人公はこの巻の最後で「目が見えないからこそ都合が良くて接していたのか」という問に直面するし、それがどういう帰結を迎えるのか分からないけど読んでいて、それすら「目が見えない=可哀想だし優しくしなきゃ」って気持ちからきている偽善のような気がした。
なので実は盲目の男の子はそう思われてたらそう思われてたで気にしない気がする。だってこの子自身も、主人公が自分に好意を寄せてる事を利用してる。

上手く纏まらないけど、とにかく「特別」を作らずストーリーを構成するのがとても上手な作家さんだなと思いました。
このお話自体もBL漫画ではなく、ヒューマンドラマとして描いていそうな印象です。
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