恋ひうた~和泉式部 異聞
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恋ひうた~和泉式部 異聞

江平洋巳

恋多き歌人和泉式部とは

ネタバレ
2020年9月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ もともと和泉式部が好きで読みました。
弾正宮と夫(橘氏)との間で揺れ動く心理描写は新鮮です。恋多き歌人、数多の愛人を持つ情熱の歌姫…和泉式部の持つイメージを良い意味で裏切る作品です。また時折ある和歌の解釈も楽しめます。
ひとつ物足りないのは、弾正宮との恋に重きをおいているせいか、もう一人の宮様(帥宮)との関係が欠落している点です。確か2人高貴な宮様との関係から、浮かれ女と言われた女性のはず。帥宮の登場が全く無いのは異聞だからなのか…
歌の才能から数多の男性を惹き付けた和泉式部の魅力が十分に描かれていないような気もします。
登場場面は少ないのに、清少納言の存在感はすごいです。他に紫式部との交流も楽しめます。
此の時代の豪奢な宮廷絵巻、三巻で終らせず、もっと深掘りしてもらい続刊が読めたらと思わずにはいられません。
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