悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました
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悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました

永瀬さらさ/紫真依

女だって当然、(物理で)戦います。

2020年9月8日
という、そこの貴方、こちらに粋な令嬢がいますよ、と。逆境から一発逆転目指して自ら立ち上がり、剣を持ち、己がために誰がために戦う、というの少年漫画の王道よろしくが個人的にとても好きで、まさか、それをヒロイン(悪役令嬢)と言う名のヒーローがやってくれるだなんて本望です。泣いたってどうしようもないからと相手にしてやったなどと思わせてなるものかと、優美に微笑むだなんて、最高過ぎて痺れる性質の皆様、こちらです。そうしても損なわれることのないアイリーンの可愛さといったら……魔王様と愉快な仲間たちの心中をお察し致します。チートと見せ掛けて、持ち得たものは振り切った強かな一途さだけだなんて、魔王様のアイリーンが可愛い過ぎる。
隅々にまで張り巡らされた伏線から、作家様が終始一貫として全キャラを使い捨てにせず、愛していることがわかります。だから、この作品のキャラたちは皆、アイリーンが言った通り生きている。全ヒロイン(悪役令嬢含む)たちがそれぞれの物語を生きている。まるで、少年漫画のような少女漫画、否、少女漫画のようでいて生粋の少年(バトル(物理))漫画のようだ、と。
この作品と出会えたことを嬉しく思う反面、汚れが少ない(笑)自身が学生の頃に出会いたかった、と思わざるを得ない気持ちも何処かにあって、それほど何かを強く鷲掴みにされてしまった。運命という名の逆境を文字通り粉々に打ち砕いた上に、更には消し飛ばしてしまう(笑)強さがとても好い。
普段は趣味嗜好からライトノベルをあまり読まないのですが、食指が動いたなら、選り好みするべきではない、と再認識した作品でした。
終わってしまったことが惜しい。しかしながら、終わらない物語は好みではないので、ただただ読めたことが嬉しい。そんな読了感は清々しく、心底、堪らない。
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