耀帝後宮異史
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耀帝後宮異史

はるおかりの/夏目レモン

ハードモード…

ネタバレ
2020年9月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 中華風ファンタジーで宮廷での物語だけど、全くもって主人公に甘くない。
美凰はいわば十二国記でいう祥瓊のような立場。(公主ではなく、王妃である伯母は毒婦だが…)

作中で、天凱が美凰の罪は、無知であったこと、非力であったことの二つであると指摘しているが、
無知の件に関しては、美凰はまだ幼かったし、伯母の凶后は美凰に真実を告げようとするものは、完璧に排除していたのだから、美凰に凶后の本性を見抜け、というのは無理があると思う。
非力の件に関しては、それこそ美凰のせいではない。
本来なら、幼い美凰ではなく、彼女の周りの大人(特に身内)が凶后を諌める役目であったと思う。
しかし、美凰が不死になってしまい、生き残ってしまったばかりに、国中の憎悪や一族の罪を、その一身に背負わされて何とも可哀想である。
凶后のしたことを思えば、美凰のことを恨まなくてはやっていけない人々のこともわかるが(国民は美凰の人柄など知らないだろう)、祥瓊と違って何十年も無知な姫でいたわけではないし、美凰に罪はあるのだろうか?と個人的には思ってしまった。
天凱が言ったように、これが彼女の罪というなら、それは罪というより、業やさだめ、のようで何ともやりきれない感じ。
基本的に、四面楚歌の状態で、明器くらいしか美凰の味方がいなくて辛い。

文体は、当て字が多く、少し読みづらい印象。
また、宮廷での物語ゆえ、色々官職がでてくるが、文中で軽く説明される程度なので、わかりづらい。
冒頭に概略図などで世界観の設定が記されていれば、なお良いと思う。
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