疵物の戀
」のレビュー

疵物の戀

沙野風結子/みずかねりょう

happy endとは言えないけれど

ネタバレ
2020年9月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 高校時代、複雑に絡んだ2人の関係はあまりに理不尽で切なかったです。自分だけの犬を手に入れて初めて覚えた欲望や執着を汚いと感じる真智の心情は苦しかったけれど、のちに語られる玖島視点では、そんな真智を透けそうなくらい綺麗だと感じてくれていた事にホッとしました。再会後も面白かったけど、高校生編によりドラマを感じました。途中何度も涙腺が緩みましたが、29歳の真智が残した手紙で一気に決壊しました。そして手紙を胸に抱えて泣く玖島のイラストにまた泣けました。幸せになる代わりに2人が喪ったものはあまりに大きくて、この結末をhappy endと捉えるかどうかは人それぞれかと思います。希望の見える幸せなラストですが、私的にはしんみりとした切なさが残りました。
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