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今月(4月1日~4月30日)
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シーモア島


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選ぶ覚悟、失う覚悟2024年11月18日冒頭からいきなりのやるせなさに長いこと読めずにいた作品です。どう足掻いたところでこれが結果なんだと重たい気持ちで読み始めたのですが、プロローグで読んだ結末と読み終えたあとの結末とでは感じるものがあまりにも違いました。暁海は世間的には普通でない許されない選択をしたけれど『ここは私が選んだ場所』ならそれでいいのだと思えるラストでした。本作の登場人物たちは皆揺るぎない強さを持っているけれど、瞳子さんにしても北原先生にしても世間的には許されない部類の人たちで、それでもこんなに凛と生きられるのは選ぶ覚悟と失う覚悟を持っているからなのだと思いました。羨ましい強さだけど私にはできそうにもありません。正解を選んで生きてきた私は瞳子さんや北原先生のような人を色眼鏡で見てきたし、これからもそれは変わらないと思う。作中の「誰に罵られようが誰に恨まれようが」という考えにも共感はできません。でも「正しさだけで全てが決められたらどれほど楽だろう」という一文を読んでハッと気づかされました。私は正解を選んできたわけじゃなくただ楽な方を選んできただけなのだなと。正解な生き方でもそうじゃない生き方でも自分の信じたように生き、最後に『自分の選んだ場所』に辿り着ければそれでいいのだと思えました。
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もうひとつの戦争2024年4月23日太平洋戦争の知識はあっても独ソ戦についてはほとんど知らなかったので大変興味深く読み終えました。失った人命も相当数でいかに残虐な戦争だったのかがわかりました。その残虐で凄惨な戦争の最前線で戦い抜いた女性狙撃手の視点から捉えた本作は、戦争を語る上であまり触れられることのない女性たちへの性暴力と虐殺に焦点を当てた作品で、本作のテーマでもありました。「集団で女性に乱暴することで仲間意識を高め結束力を強くする」と公言する男性兵士たちも故郷へ帰ればよき夫で優しい父親なのかもしれない。ごく普通の平凡な人間を簡単に悪魔に変えてしまう戦争の悲惨さ無情さに胸が痛くなりました。80年経った今それと同じことがウクライナで繰り返されています。一日も早い終結を祈らずにはいられません。
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全てを覆す"衝撃の一行"2024年3月15日映像化不可能と云われるこの有名な作品がついに実写映像化されるのに先駆けて読んでみることにしました。通信手段のない孤島で次々と起こる連続殺人。犯人の動機や人物像の描写など少し薄いなと感じる部分はあるものの、お互いを疑い探り合い疑心暗鬼になっていく過程は苦しいながらも一番面白い部分でもありました。途中まではこの作品の一体どこが映像化不可能なんだろうと思いながら読んでいましたが、終盤の"衝撃の一行"に鳥肌が立ちました。全てがひっくり返るほどの破壊力でした。これは確かに映像化は難しいと思います。小説だからこそ成り立つ犯人像だと思うのですが、これを一体どうやって映像化するのかとても楽しみです。
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6つの家族の物語2023年1月10日本屋大賞3位受賞の作品で前から気になっていました。6編から成る短編集ですが、どれも家族をテーマに描かれており読後ずーんと心に残るものばかりでした。「式日」の中に"一軒一軒の窓の明かりは自分のものじゃない明かりほど美しく見える"という一文がありますが、共感です。家庭という小さな世界に必ず存在する歪み。6作品の家族にも決して外からは見えない秘密や歪みがたくさんあって、その"歪さ"を愛し受け入れながら生きる彼らにどこか物悲しさを感じました。淡々としたイメージのお話ばかりですが、各話が次の作品へとうっすら重なり合う部分があり、それを探しながら読むのも楽しかったです。一人ひとりの小さな世界が知らない間に知らない誰かの世界と重なり繋がっていく、だから「ワールズ」なのかなと思いました。
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過去と向き合えば未来はきっと変わる2022年6月4日「過去は変えられなくとも心ひとつで人はどんな辛い現実も乗り越えていける」実際はとても難しい事だけど、本当にその通りだなと思いながら読み終えました。私自身後悔ばかりの人生で、過去に戻ってやり直したいと思う事もしばしばですが、今日の自分が明日の自分を作り未来へ繋がっていくのだなと、過去は変えられなくても未来は変える事ができるのだなと改めて考えさせられました。この物語の登場人物たちも結局現実は変えられなかったけど、会いたかった人、伝えたかった言葉と向き合う事で違う生き方を見つける事ができました。4回は泣けなかったけど、ホロリとする、とても温かいお話ばかりでした。映画も観ましたが、映画の方がわかりやすいと思いました。本作では表面的だった人物像が魅力的に表現されていて共感できたし、謎のまま完結してしまったワンピースの女性の過去にも触れていて、ちゃんと納得できました。本作を読んだだけでは物足りなかったと思います。
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タイトルの意味が辛い2022年5月15日前半は防犯探偵と美人弁護士が協力して密室トリックを暴いていく内容で、あらゆる仮説を立てては一つずつ潰していく地道な捜査はやや冗長気味で、これは謎解きではないなと思いました。俄然面白くなったのは後半犯人視点になってからですが、彼の境遇には同情しかなく思わず肩入れしてしまいました。せめて自分のこれからを諦めずにしっかりと生きて欲しいと願わずにはいられませんでした。硝子のハンマーは彼の心そのものであり、タイトルの意味が辛かったです。密室を使った巧妙なトリックはお見事でしたが、トリック自体は難解すぎて正直理解できませんでした。そもそも殺人まで犯す必要があったのか、動機が少し弱いように思います。まだ1作目のみの購読ですが防犯探偵シリーズとして続編も出ているようで、今作ではどこか噛み合っていない2人でしたが、今後名コンビになるのでしょうか。続編も追ってみたいと思います。
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LOVEが足りない2022年1月25日タイトルや表紙絵から軽い恋愛ものを想像していたのですが、少し違いました。厳しい警察学校で切磋琢磨しながらも共に成長していく青春物語ですが、その根底には痛ましい事件の陰が常に付き纏っていました。同じ痛みを共有しながらも相容れない二人にもどかしくなりましたが、何度もぶつかり合う中で少しづつ打ち解け合い、抱え続けた自責の念から解放されていく様子は感慨深かったです。恋愛面よりも訓練の様子や事件性に比重を置いた作品で少し物足りなさもありましたが、くっ付いてからの攻めの液状化が楽しめました。四角四面で堅物過ぎる攻めの今後が少々心配ではありますが、きっと受けが側で支えてくれると思います。とてもバランスのとれた二人だと思いました。
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後味最悪、でも読みたい2021年11月28日三冠を達成したミステリー短編集という事で気になっていた作品です。語り口は静かで昭和の風情がありますが、どのお話も仄暗い薄気味悪さがあり後味は最悪です。一話読むごとに気持ちが引きずられ、読了するのに時間がかかってしまいました。真実など知らない方がよかったと思わせる「夜警」「満願」 ホラーな結末にゾッとした「柘榴」「関守」 静かに裁きを待つ野望のサラリーマン「万灯」など印象的なお話ばかりで、暗く不気味な結末に彼らのその後を想像せずにはいられませんでした。イヤミスとはこういう作品の事を言うんでしょうか。ドラマ化もされているようなのでそちらも是非観てみたいです。
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叙述トリック2021年9月17日叙述トリックとは知らず額面通りに受け止め読み進めた結果、最後に明かされる真相にただただびっくりです。タイトルの通りですね。まともな登場人物が一人もいなくて読むのに苦心しましたが、それも伏線でした。途中で何度も感じた違和感の正体も読了してみればなるほどですが、設定に無理やり感やでき過ぎ感を感じました。精神異常者の妄想で全てを片付けてしまうならどんな設定も有りになってしまうし、少し安直かなと思います。でも叙述トリックとして読むならすごく面白かった。騙された感ががすごかったです。終始陰鬱とした緊張感をはらんだお話でしたが、事件の真相が分かりホッとしたのも束の間、最後がまた怖かった。
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理想の結末なのにしんどい2021年7月26日ファンタジーというよりはSF色の強いお話でしたが、未来に警鐘を鳴らす内容でもありました。精緻化したアンドロイドに人間が使われる未来が本当に来るのかもしれないし、永遠の命を得られるようになるのかもしれない。絵空事ではないようにも思います。永遠に生き続けるということは大切な人たちの死を何度も見続けるということで、それはとても残酷なことです。歳を取り死んでいくのは悲しくて辛いことだと思っていましたが、大切な人たちと同じ時を生きて死ねるのは幸せなことなんだと改めて気付かされました。ショートケーキの「苺」は2人の幸せの形そのものなのでしょう。タイトルには、その幸せを壊さないで欲しい、どうかそっとしておいて欲しいという願いが込められているように思います。
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珠玉の人間ドラマ2021年7月12日映画を先に観ていたので、いずれ離れ離れになる二人を思うと切なかったです。このまま小豆島で幸せに暮らせればいいのに、なんて思ってしまいました。何年罪を償おうと犯してしまった過去は消えるはずもなく、希和子や薫、実母の心に大きな傷を残したままのラストはやるせないです。どうしても希和子に肩入れしてしまいますが、きっと希和子は薫の面影を探しながらも日々の中にささやかな幸せを見つけ、案外図太く生きられる女性ではないかと思います。でも救いようのない実の両親は「こんなはずではなかった」場所から踏み出すことはできるのだろうか。実母には共感する部分も反発する部分もあったけど、新しく授かった命の中にかけがえのない幸せを見つけて欲しいです。
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答えは自分の中にある2021年6月5日ビオトープというタイトルから、綺麗に整えられた空間の中で安住する人たちの話かと思ったのですが、違いました。神さまの与える試練を人はどう受け止め、どう立ち向かっていくのかを試されるようなお話でした。主人公の女性も過酷な試練に苦しみながらも常に心は自由で、最後まで自分の愛を貫き通しました。もしかしてその愛は「異常」なのかもしれないし、世間が望む「普通」には程遠いのかもしれません。主人公カプがようやくたどり着いた答えが果たして正解なのか、そもそも正解などあるのかわからないままですが、誰にも理解してもらえない生き方を選んだ彼女の覚悟をとても綺麗だと思いました。彼女の心の中にビオトープはあったのだと思います。
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温泉事件簿新垣編切望!2021年5月3日難しい事は何も考えず、さらっと気軽に楽しめました。切迫したシーンもちょいちょいありましたが、コメディ色が強烈でテンポよく解決してしまいました。二ノ宮が失ったのは童貞ではなく処女なのではという疑問は残りますが、無事卒業できて何よりです。後半の攻め視点のお話はわちゃわちゃうるさい感じではありましたが、2人のアホなやり取りが面白かったです。爆発寸前の世取と新垣が気の毒すぎました。温泉事件簿を新垣視点で読みたいです。
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出会うべくして出会った二人2021年1月23日冒頭から人が亡くなるという衝撃的な始まりのわりには終始ほんわかした優しいお話でした。あらすじからなんとなく展開は予測できるものの、お互いが運命の相手だと気付けない2人がもどかしくて、でもそのジレジレが一番楽しい部分でもありました。20歳近くも年上のくせにヘタレな攻めと健気だけど男前な受けという組み合わせも面白かったです。過去に囚われ続ける攻めの苦しみは相当深いはずなのに、その苦悩が分かりづらく彼の気持ちに寄り添えなかったのが残念ですが、そんな攻めの頑なな心を解きほぐしていった受けのひたむきさこそがこの作品最大の読みどころだと思います。
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爽やかDKたちの青春ラブミステリー2020年10月11日タイトルや表紙絵から受けるダークなイメージとは違い、演劇に情熱をかける男子高校生たちの爽やか青春ものです。受けはピュアで可愛いし、脇を固める 友人たちも個性溢れる濃いキャラばかりで、お互い励まし競い合いながら成長していく男の子たちが眩しかったです。が、途中から天使の仮面の都市伝説が思わぬ形で絡んできてどんどんミステリーな展開に。演劇とミステリー、どちらも面白い設定で飽きさせませんが、攻めの秘密やラスボスまでを一冊で纏めるには少し窮屈かなと感じました。ここまで詰め込まなくても十分楽しめる内容だったし、一つひとつをもっとじっくり堪能したかったです。
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十年愛2020年7月26日ページ数のほとんどを誤解やすれ違いに費やしているけれど、THE王道な展開で最後まで安心して読めました。激ニブな2人がどう誤解を解いていくのか想像しながら読むのが楽しかったです。終始穏やかで優しいストーリーの中にもほろ苦さがあり、とても読みやすい作品だと思います。
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ほのぼの系ホラー2020年6月18日途中ぞっとする場面が何度かあるものの、藤森のユルユルキャラと江利なら絶対守ってくれるという安心感からそこまで怖くはなかったです。爽やかイケメンの江利が時々見せる臆病さに彼の辛い過去が想像できますが、痛々しかったという霊感少年時代の孤独がもう少しわかれば現在の江利の人となりにもっと近づけたように思います。
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男の花道 Don’t Worry Mamaシリーズ【イラスト入り】
思いっきり笑いたい時に2020年4月11日表紙絵のカッコいい彼がまさかのオネェで、ギャップ萌えです。健気すぎて切ない場面はあるものの、微妙にズレてる乙女思考や追い詰められた時の謎な行動の数々に笑えました。そしてイラストが爆笑でした。オタクなホワイトアスパラだと思っていた松尾が案外男前で、こちらもいい味だしてました。当人たちは大真面目に悩んでますが、その誤解やらすれ違いやらを楽しむ作品です。いいね
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まるで映画のような余韻2019年11月22日表紙絵やタイトルから受けるイメージと内容が全然違いました。純愛でした。ネタバレなしで読んだ方が面白いかと思います。重過ぎるテーマに気持ちが沈んでいきそうになりましたが、作り込まれた設定と謎な展開にページを繰る手が止まりませんでした。そして終盤明かされる真実に心打たれました。一度読んだだけでは細やかな描写を拾いきれなかったような気がします。二度三度と繰り返し読む事で更に深みの出る作品のように思いました。
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緑野を幸せにしてあげて下さい2019年11月18日ガッツリお仕事系かなと思ったのですが、恋愛部分の比重が大きかったです。高木は前作にも登場しているようなのでそちらも読んでみたくなりました。寡黙で自己犠牲の強い緑野の生き方にこのまま悲劇的な展開へと流れてしまうのかと思いましたが、緑野を守るためエリートの仮面を脱ぎ捨てて闘う高木の男っぷりがよかったです。熱血漢で潔くて、まさにギャップ萌えでした。全ての業を背負い込み幸せになることに罪悪感すら持っている緑野と、誰よりも緑野自身に幸せになって欲しいと願う高木。自分のためには生きられない緑野にとって高木の笑顔こそが真の幸せなのであり、高木にはどうか緑野を幸せにしてあげて下さいとお願いしたい気持ちです。
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試し読みでウルウル2019年11月5日人外モノは苦手で避けてきたジャンルですが、試し読みでウルウルしてしまいました。青の寂しさに涙し、優しさに涙しました。想像以上に切ないお話でしたが、心温まるほのぼのとしたシーンもたくさんありました。途中まではBLとは思えないファンタジーな世界観で、この先どうBLに近づけていくんだろうという事も含めて楽しめました。魔物の青をあえて可愛くない設定にしたのも良かったです。終盤全てが上手く纏まり過ぎな感はありますが、心に染み入る素敵なお話でした。
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30年愛2019年10月12日2作品どちらも読み応えがあり面白かったですが、2つ目の「聖夜」の方が印象的です。30年、変わらぬ愛で寄り添う2人は羨ましいですが、でもその愛情は周りの人達には酷なような気もします。一緒に居るのに一緒じゃないと感じる寂しさはやり切れないです。他に心を残したまま一緒に居られても、それはひとりで居るよりもずっと寂しい事だと思います。彼らを取り巻く人達の人生観ががっつり伝わってきて、そちらの方に感情移入してしまいました。随分遠回りしてしまった2人ですが、30年かけて見つけた答えが彼らの真実であり、長い歳月をかけたからこそ成し得た幸せなラストは圧巻でした。
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焦れったいったらない2019年9月7日微妙な表紙絵に購入も躊躇しましたが、柔らかな描写と繊細な文体に惹き込まれました。表紙絵だけで判断しなくて良かったです。三角関係とまではいきませんが、3人の男の子たちの距離感が危うくてもどかしくて、友情と愛情の狭間で苦しむそれぞれの葛藤がお話の大部分を占めており、中核となっています。誰かが一歩を踏み出してしまったら3人の関係がくずおれてしまうような緊張感が常にあり、微妙な均衡を保ったままの友情はかなりもどかしかったです。杉原さんの作品は焦れったいものが多いですが、今作は特にジリジリしました。終盤まで友情を引っ張る展開にジリジリもMAXとなりましたが、このジリジリこそが読みどころだと思います。
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テキトー先生2019年8月10日生徒×先生という設定ながら先生のゆるーいキャラのせいかタブー感は全くなく、終始happyなお話でした。いい加減に見えて実は真面目な先生が魅力的で好感が持てました。脇を固める他の先生方や生徒たちも皆んな個性的で、特に玉砕していった女性陣には次こそは幸せになって欲しいです。手練れすぎる高校生に若干抵抗はありましたが、意外な一面が最後に明かされてびっくりです。お互いの見た目や言動への誤解から素直に気持ちを伝えられない2人の混戦模様が読みどころでした。5年後10年後の2人の未来を信じ切れない先生の気持ちには共感できます。なので、成人し大人になった攻めとのラブラブな続編を読んで私も安心したいです。
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堅物すぎて2019年7月29日小中学生時代の委員長は本当にカッコいい優等生で、正義感溢れるエピソードには惚れ惚れしてしまいました。が、優等生のまま大人になってしまった委員長には共感できず「和」を重んじる組織の中で折り合いをつけながら生きていく事の難しさを痛感させられました。親鳥と雛のような上下関係だった2人がお互いを必要とする対等な関係へと昇格し、守られるばかりだった晴樹が逆に委員長を守れる強さを見せてくれてよかったです。ただ脇役達のキャラが濃すぎる余り、読後も脇役2人のHをうっかり想像してしまい、主役たちが霞んでしまった印象です。
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静謐な世界2019年7月22日冷たい水の底に2人で沈み込んでいくかのような前半は苦しいばかりですが、沢田の努力と忍耐を強いられる後半はさらに苦しかった。真逆の2人がそれぞれに欠けているものに惹かれ合いながらも共に成長していくお話で、2人きりの静かな場所から広い世界へと踏み出す描写が印象的です。SSの椎名がすごく可愛かった。2人のすれ違いも沢田の葛藤も我慢も全てがこのSSのためにあったんだなぁと思えました。
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爆絶可愛い2019年7月17日三役の攻めそれぞれに心惹かれグルグル悩む受けと、三役をこなさなくてはならなくなった攻めとのまるでコントのような会話がとても面白かった。受けの天然過ぎる思考はツッコミなしでは読めない程で、攻めにはお疲れ様と労いたい気持ちです。三役がバレた時の受けのポジティブ発言が微笑ましく、何事もあんな風に捉える事が出来たらさぞかし楽しい人生だろうなと思えます。感覚的なズレやら会話や行動のズレやら、とにかく最後までズレまくる2人を楽しむ作品だと思います。
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涙の初恋エピソード 笑2019年5月25日タイトルやあらすじ、表紙絵から内容はある程度予測できますが、この手の話にしてはさわやかな読後感です。真逆に見える兄弟それぞれの人物像が魅力的で素敵でした。この2人の確執がなかなかに複雑で面白く、その部分だけで1冊出来そうに思います。個人的には恋愛部分よりも兄弟の関係性の方が面白く感じました。終盤、きれいにまとまり過ぎな印象はありますが、皆んなが幸せになれるラストが良かったです。
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