左手のための二重奏
」のレビュー

左手のための二重奏

松岡健太

読まなきゃ損する、絶対。

ネタバレ
2020年9月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 無料お試しでチラ見した時は、なんか絵が粗削りだし(躍動感はあるけれど)、序盤から主人公の境遇がドン底過ぎて、まあ暇つぶし程度に読み始めたのですが。

結果:ポチって正解。フツーに面白い。

単なる上向きの履歴書(所謂サクセスストーリー)ではない展開。
左手に死んだ同級生(天才ピアノ少女)の魂?が宿った不良少年が、少女の父を師としてピアニストの道を進み始める…。
粗筋だけだと「なんだ、ヒカルの碁のピアノ版か」と思われそうですが、本作は画風こそ少年漫画だけども、内容的にはヒューマンドラマですね正しく。

ネタバレですが、主人公は本当に境遇が悲惨で…そりゃ不良にもなるわなって家庭環境で育って、おそらく一生ピアノなんて触れずに生きていただろう少年です。
一方の天才ピアノ少女は、天真爛漫で屈託なく周囲を明るく照らす陽属性の権化みたいな娘で、二人が邂逅するのは偶然同じ終電逃した一夜限り…と言う切なさ。

つまり、本作は少女が亡くなってから二人のパートナーシップが始まるのがミソですね。
一度は命を投げ出そうとまで追い詰められた少年を、少女(左手)が「生きて」と励ます神場面とか…、通勤中に読まなくて良かったよ(うっかり泣きそうに)。

とりま読まなきゃ損ではある、絶対。

とは言え、本作は漫画を漫画として楽しむことが出来る方向け。
フィクションにもそれなりのリアリティを求める方には向きません。

・富裕層であるピアノ少女と底辺家庭の少年が同級生(同じ中学校)とか、ありえないよね
・左手に死んだ娘が宿ったのを一度の演奏聴いて連弾したからって信じる父とか、ありえないよね
・右手は素人なのに音感凄いからってあんなすぐに弾けるようになるとか、ありえないよね
・ピアノ初心者なのに結構トントン拍子にハイレベルなライバルと対峙してるとか、ありえないよね

上記の感想を抱いたとしても、続きが気になってしょうがないので、私は続刊もポチります、ハイ。
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