蝶のみちゆき
」のレビュー

蝶のみちゆき

高浜寛

素晴らしい作品

2020年9月26日
蝶の見る夢のような、ほむらに群がる蛾もまた蝶に見えるような郭という世界の、時折匂いまで伝わるような、生々しい空気を感じました。
几蝶がパタンと襖を閉めたワンシーンで、人の脂臭さをほんのり含んだ襖紙の匂いがしたような気がしたり。
長崎と言えば話題に上る、塗り直された有名な橋よりも、古い階段が残る細道の奥の風景が思い出されます。
坂の下から吹き上げて来る風、とか。

映画を一気に観賞したような読後感。
良い作品を読ませて頂きました。
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