あおに鳴く
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あおに鳴く

切なく希望のあるラスト(考察)+小冊子

ネタバレ
2020年10月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 両親から愛情を受けずに育った司朗×戦時からタイムスリップした菊(鴻)の連鎖の愛情物語。
この作品はBLとしての恋愛だけでなく、様々な形の愛情が描かれているなと感じました。
そしてふたりの距離感が心地良いというか、いつまでも一緒にご飯食べていてほしい!ってなります。
そして噂のラスト。なるほど確かにこれは評価が割れるラストですね。
キャラクターそれぞれが複雑な思いを抱えている割に、作中から行間を読む必要がある表現で描かれている上、結末が読者の想像にお任せな感じなので、1から10までわかるように説明してほしい!ハピエンしか受け付けない!って方にはこの作品は向かないかと。

<<個人的考察書きます>>
最後の「俺と生きてくれ」という言葉は、過去に戻り菊次郎に対して落とし前をつけ、司朗の過去と未来を守りつつ、いずれ産まれる司朗との再会を夢見て、鴻にとっての本当の現代を生きるということ。
そして年齢はかなり離れてしまうけど、「過去からちゃんと生きてきた鴻」として、愛情をたっぷり受けた司朗のいる世界で生きていきたいということかなと想像しました。
最後のシーンは司朗の記憶(過去)が幸せなものに書き換わった瞬間(鴻さんの願いが叶った瞬間)であり、だからこそ司朗の「次は俺の番」という言葉は、そんな過去からちゃんと歳を重ねてきた鴻さんに「俺から会いに行くよ」という強い決意なのかなと。
もしくは、鴻さんがもし既にこの世にいない場合は、「あなたがもたらしてくれた両親からの愛情がある今をしっかり生きるよ」ということかもしれません。
菊さんはいなくなったけど、現実の鴻さんは同じ世界にいる(生死は不明)。そんなトゥルーエンドな解釈をしました。これはこれで切ないですけどね。
あくまで個人的考察なので、きっと何が正しいとかはないのでしょう。
真実は作者様のみぞ知るってね。


★小冊子が電子化されたので追記。
日常エピソードが2話(13p/12p)収録。
好きに抗う司朗の話と、誕生日をお祝いするふたりの話。
満足度高めです。とってもニヤニヤさせられました。
続のラストに絶望したアナタ、小冊子を読むのです。少しは心が和らぐことでしょう(続編ではないので注意)。
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