奇子
」のレビュー

奇子

手塚治虫

人間の欲と罪

ネタバレ
2020年10月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 東北の大地主の旧家で生を受けた奇子は、当主の権力と欲望、大人たちの利害関係優先の態度によって、死んだ存在にされてしまう。あまりにも酷い扱いを受けながらも、心は少女のままで美しい大人の女性に成長する。長兄の遺産と妻をめぐる父親との確執、次男と姉の巻き込まれた戦後日本の抱えた闇、三男のアンモラルな愛。旧家という隔絶された世界と戦後という日本の政治情勢が奇子とその兄弟たちの運命を狂わせ、人間の業を際立たさせる。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!