嘘つきは紳士のはじまり
」のレビュー

嘘つきは紳士のはじまり

松尾マアタ

ズルイけどカッコイイ

ネタバレ
2020年10月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 担当教授のポールにジョナサンが弱みを握られて一度関係することから始まるのですが、このポールが金持ちの名家の出で典型的なWASP、でもってゲイ、嫁の動物学者のジュディと娘のアビーがいて1年の内半年くらい別に暮らすのをいいことに男と遊んでいるというズルイ男でして、家族で食事に行った先のウェイターに連絡先を渡していたり、ジュディとアビーが感じがいいだけに読んでいて痛ましいです。ポールの頭の中では家族のことは愛していて大切に思っているのですが、自分の性的指向は譲れない模様で、ジョナサンは不貞や二股など許せないタイプなのでポールに惹かれはするものの、深入りしないように自重しています。ポールが学生時代に本当に好きな人とは離れざるを得なかった過去が描かれていてちょっとせつなかったです。読んでいるうちに不思議にポールの薄毛も気にならなくなってきて、かっこよく見えてきます。内容的にはシリアスなのですが、ポールとジョナサンの会話が小粋というか、絵もキレイでクールでスタイリッシュな作品になっています。こちらだけだとアバンチュール的な軽い感じになってしまうので、ぜひ続編の「あやまちは紳士の嗜み」とセットで読んでいただきたいです。2010年7月 総192ページ 修正=見えない構図、一部白抜き。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!