鬼滅の刃
」のレビュー

鬼滅の刃

吾峠呼世晴

仏教的価値観

ネタバレ
2020年10月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 流行しているからという理由だけで、テレビ放映の映画を見ました。シニアと呼ばれてもおかしくない私がはまった理由は、この作品に貫かれている因縁の価値観です。一般的に使われている因縁ではなく、仏教でいう因縁、業です。一見桃太郎を複雑にしただけのように見えますが、主人公が闘う理由、闘う相手の鬼が鬼になった理由、すべてに原因がありその業を背負って人も鬼も生きている。それゆえに主人公は鬼に同情し時に共感し、その感情を持ち続けたからこそ、自身が鬼になっても人と鬼の間を揺れる事ができ、縁のある人たちの思いと共に人を選択できた。このストーリーは、怪物と人を完全に分ける西洋的価値観では成り立つのが難しい。
神楽が神に捧げる舞として受け継がれながら、実は自分を守る闘いの秘術の型を示していたという設定にも感嘆しました。
鬼とは仏教でいう餓鬼であり、時代を問わず存在する。私も何かのきっかけで餓鬼になるかもしれず、残念ながら人の形をした鬼だなと思う人もいます。日本だからこそ生まれたこの芸術的作品に、敬服致します。
いいねしたユーザ90人
レビューをシェアしよう!