このレビューはネタバレを含みます▼
なんでしょう…まずタイトルの付け方が最高にうまい。
お話も、私たちが暮らす日常と同じ時間の流れのように、緩やかに進みつつ、展開がちゃんと起きていく。
急な展開ではなく、本当に日常と同じように。
登場人物たちの人柄も柔らかくて共感できます。
作品によっては、登場人物のトラウマや傷に共感できないこともあるのですが、「恋チン」では、ごく自然な重ねてきた傷が透けて見えて共感できました。
加美さんの和気くんとの距離の取り方も、
加美さん自身が優しすぎるが故の行動なのだなと感じますし、和気くんの味覚音痴な理由も切ないけれど、加美さんと出会ったことで幸せを知ることに感動しました。
「恋チン」は、またかよ!というすれ違いが多すぎて話の進みが遅いこともなく、けれどシリアスなシーンもしっかり描かれていて最高に泣けました。
和気くんの傷ついた顔や切ない顔がとても良く描かれていて、心臓をぐっと掴まれました。
繊細な顔の描き方がとても上手い作者さんなのですね。
2人は出会うことによって、自身の心に向き合い、お互い幸せになるために支え合い、愛を育み成長していく姿に勇気をもらいました。
登場人物全員の感情・表情・言葉、全てが繊細で丁寧に描かれていて、本当に涙しました。
とても丁寧な作品です。
エッチも愛を確認し合う行為で、心が清らかになるようでした。
ぜひたくさんの方に読んでいただきたい、優しさを思い出せる作品です。