霧の楽園
」のレビュー

霧の楽園

丸木文華/笠井あゆみ

仄暗いラストに余韻が残る

2020年10月28日
ページ数が結構あるのに「読むのが速くなったんじゃないか?」と錯覚するほど、スラスラ読めました。これは単純に好みの話ですが、攻めの執着と溺愛のほうが凄過ぎて、受けの恋愛感情が弱く見えるので、感情移入がしにくかったです。身分のせいもあり、受けからは攻めに対しての戸惑いと遠慮ばかりが強調されていて、行為の時は燃えるけれども、普段から恋心があるようにあまり感じられません。物語はミステリーとかホラーに近いような作風で完成度が高く、エロも濃厚なのですが、イマイチ気持ち面での盛り上がりに欠ける気がしました。身分違いなのにどうしようもなく惹かれてしまう...とか、もう少し序盤から、受けから攻めに対する恋情が描かれているほうが好みでした。とはいえ、攻めの執着の理由が最後に明かされた時は胸が切なくなりました。笠井先生のイラストは物語に非常にマッチしていて、今まで拝見した挿し絵の中でも上位に来るほど気に入っています。
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