日下部さん
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日下部さん

押見修造

まさに押見ワールドのヒロイン

2020年11月1日
押見氏の真骨頂とも言える、若気の至りの妄想の具現化のような女の子─それは単に可愛らしく媚び媚びな、ある種の自己投影ような都合の良い存在でなく、我儘で、不可解で、時に明確な「醜さ」を持って描かれる。だからこそ妖しい色気、人によっては抗い難い魅力を放つ押見ワールドの女性…この作品はまさにそれのみを切り出したかのような剥き身の一作である。ヒロインでありながら圧倒的な「他者」としての異物感、異質感を最後まで失わず、主人公のようにその暴力的なまでのヒロインの個性の発露を愉しむことのできる人間ならばたまらない一作だろう。個人的にはヒロインの眼、あの「笑顔」に自分は一発で引き込まれてしまった。ピザを頬張る眼、人を見下したかのような、憐むかのような眼、ラストの表情、全てが目を離し難い魅力に満ちている。
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