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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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  • 東京最低最悪最高!

    鳥トマト

    ギブアップ😓
    2025年1月13日
    主人公がひねくれ過ぎて感情移入出来ませんでした。自分の出自を呪い、他人を卑しめ、自分を卑下しているようでいて他責思考が強く感情的で、他人に手をあげることも厭わない。無理無理、好きになれるわけがありません。まあ、東京での暮らしぶりに共感しないわけでもありませんが、人間の醜い部分を醜いままに良しと諦める主人公の生き方には結局馴染めませんでした。
  • 一刀斎夢録

    浅田次郎

    斎藤一老かく語りき…名作です!
    2024年12月5日
    幕末の世を彩った壬生浪の生き残り、今やゲームや漫画でも引っ張りだこの『斎藤一』像の決定版…だと個人的には思っています。主人公に語り聞かせる形で紡がれる、一人の剣士の目から見た幕末事情と数々の事件は非常に読み易く、ともすればあっという間に読み進んでしまいます。なにより物語の骨子となるのは、斎藤一という偏屈で、人間を糞袋と言い放って憚らない強烈な性格と、それでいて確たる美意識を持ち生きる剣に生きた男の魅了が素晴らしい。展開される数々の事象は、全てこの男のキャラクターを浮き彫りにするための手段といっても差し支えないでしょう。『壬生義士伝』においては、吉村貫一郎という父であり、侍であった男の人物像を様々なキャラクターの視点から浮き彫りにする手法が取られていますが、本作においては斎藤一老(一刀斎)の言動、考え方、物の見方から、斎藤一という強烈かつ魅力的な剣士を見事に描き出しています。作中のある人物が、斎藤一を私淑する余り彼を頭の中に思い描き、斎藤一ならどうするかと問うていると言うシーンがありますが、その生き様考え方に共感はできずとも、なるほどそうするに足るだけの信念(思想というよりは信条、彼なりの価値観)がこの作品の斎藤には間違いなくあります。機嫌次第では、対面した次の瞬間には絶技の居合で首と胴が離れているかもしれない緊張感、自らの美意識に能わない者にはとんでもなく酷薄な癖に、認めた人間には実に面倒臭い愛情を向ける偏屈者。どこか愛らしささえ感じる意地と矜持の人、胃潰瘍の癖に酒を飲んだり、金銭に無頓着過ぎて奥さんに叱られたり、口重く語り始めたと思ったら意外と口が軽かったり、日露戦争後の軍人さん(主人公)相手のおにぎり談義からの栄養学ガン無視の米食え米の老害っぷりは狙っているとしか思えません(笑)二巻相当のボリュームを感じさせない軽妙な面白さ、名作だと思います。是非。
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  • 怪奇!死人少女

    日野日出志

    腐りゆく身体は…
    2024年11月23日
    闘病…とはとても言えない少女の悲惨な境遇。日野先生のグロテスクな描写とキャラクターの慟哭は、やはり胸に迫るものがある。主人公の少女には、なんらの落ち度もない。ただ、突然の不幸に慄き苦しむしかないという悲劇、しかもそれは「死」という救済すら望めないのだ…。しかし、この作品は通常の日野先生とは一味違った結末を迎える。日野先生の描く異形の最期とは、ほとんどが「孤独」であった。例えば毒虫小僧や恐怖のモンスター、代表作たる蔵六の奇病など、周囲(社会)から隔離され、家族からも離れ、あるいは見捨てられ、その孤独(多くは「深海」として描かれる)に最後の安らぎを見出す。それは絶望の果ての、関係性の消失の、最後の救済であり、だからこそなんとも言えない読後感を残す。しかし、今作は少し毛色を変えて、一転「生」への繋がりを見せる先生には珍しいラストであった。はっきり美しいと言える救済のラストは、主人公にとってもそうだか、見放すことなく寄り添った家族にとっての救いでもある。今まで哀しき異形の最期を描き続けてきた先生だからこその今回の救いのある結末は、非常に胸を打つ。先生の作品を鑑賞するとき、そこにはグロテスクで悲惨な境遇に陥る登場人物達を観察する薄ら暗い快感を伴う。だが、先生の作品はそうしたただの読者の怖いもの見たさやエグいものを見たときのなんとも言えない高揚感を満足させるだけのものではなく、悲惨な境遇において(多くは救いのない)のキャラクターの感情や言動を通して、先や死、美醜といった価値観の陰影をクッキリを浮き彫りにし、そこに人の、命の尊厳とは何かという決して説教がましくはない問いかけを我々に与えてくれるのだ。
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  • 日野日出志 作品集 赤い蛇

    日野日出志

    個人的には日野日出志先生の最高傑作!
    2024年11月21日
    のっけから繰り広げられる広大にして、恐ろしく狭い「家」と「家族」が放つ陰鬱で妖しく、それでいて底なし沼のような吸引力を持つ舞台設定に圧倒される。ここに描かれるのは、不気味な家に囚われた、ただの一個の家族…。唯一まともで怖がりで余りにも無力な主人公から見れば、自分以外は誰も彼もが肉身とは思えないほど特異で狂気に満ちている。各人の狂気はやがて絡み合い、取り返しがつかないほど暴走し、やがて破滅の時を迎えるのだが……恐るべきは日野御大の凄まじいイマジネーション、なんとそこから物語はさらに深淵の奥深くへと主人公を、読者を誘うのだった。まずは一度、最後まで読んでみてほしい。何度読み返しても飽きないこの作品の魅力は、まさに家に囚われた主人公が陥るループ構造に重なり合う。我々読者もまた不気味で深淵なるこの家に囚われ、延々と終わりのない悪夢に耽溺させられてしまうのだ。
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  • 路傍のフジイ

    鍋倉夫

    共感は必要なのか?
    2024年9月5日
    この男に対して共感は必要なのか
    漫画の主人公としては酷く突き放したように見えるその造形だが、よく観ればそこかしこに見える常識外れの「優しさ」が現れてくる。それに救われ、何かを見出すキャラクターたちからしてみれば、彼こそまさに主人公なのだ。
    過干渉や不要な詮索をしないこと。
    自分の生き方(人生の喜び)を確立していること。
    自分というものをブラさずに他人と付き合うこと。
    一見無個性な彼がいかに個性的でダイナミックに人生を謳歌しているか、社交的でそつなく人と付き合う人物がいかに無自覚に人を傷つけ、無個性な生き方を繰り広げているか
    それを暴き立てる藤井の態度に幾度となくハッとさせられる。
    …が、しかし頭ごなしに否定しないこの作品のスタンスはひたすらに心地良い。社交的な彼の生き方を悪様に描かず、ちゃんとそれはそれとして肯定的に捉えているのも、実にバランス感覚が優れており、所謂エコーチェンバーとは真逆の姿勢のこの作品に深い敬意を評したい。
    個人的に深く感銘を受けたのは、一巻の傘のシーン。「普通」ならば、傘を彼女に差し出して自らは濡れるも辞さないといった「ええ格好しい」な美味しいシチュエーションだ。が、彼は「一緒に」という。必要以上の自己犠牲を「自分」に強いることなどしない(他人にそれを押し付けない)、しかし突然の事態には身を挺することのできる強さに、わしり…と心を掴まれてしまった。そう、こいつは自然体で優しいのだと。もっとも信用できる人間の在り方の権化のような存在…やはり彼は主人公だった。紛れもなく。
  • 劇光仮面

    山口貴由

    誰かの不幸を待っているわけじゃない
    2024年7月14日
    タイトルは作中の主人公の友人が言った台詞だ。
    まさに、と首肯した。台詞はこう続く…
    『自分の命を投げ打って立ち向かうものに出会いたいと思っているんだ。』
    作中示されるヒーロー像は、いちいちその全てが首肯せざるを得ないものだ。
    先の読めない展開、じわじわと忍び寄る非日常に、特撮技術でもって立ち向かうという傍から見ればギャグにしか見えない主人公たち。
    しかし若先生(作者)も、登場人物たちも大真面目でことに当たる。
    それらを「嗤えなく」させているのは、彼らが言内外で提示する、先に挙げたようなヒーローとしての在り方だ。
    自分以外の何者かになりたいという変身願望、しかし彼らにとってそれは「逃避」ではなく、その一歩先を行くものだ。
    それが何かは本編を読んでもらうのが一番早いだろう、ますます円熟味を増した山口先生によるヒーロー活劇をお楽しみあれ!
  • ブラック・ジャック~黒い医師~

    山本賢治/手塚治虫

    真っ当なリメイク
    2024年7月14日
    山本先生は大好きな漫画家の一人なのだが、いかんせんその作風は所謂「刺さる人には刺さる」というもので、凄惨な猟奇描写とシニカルな人物描写、無情な世界観は個性的極まりなく、私はいつも先生の描く作品に惹きつけられてやまない。さて、今作はあの誰しもが知ると言って差し支えない『ブラックジャック』の先生の手によるリメイク!
    ファンとしては手に取らないわけにはいかない(そもそも好きな作品であるが)。
    昨今、アニメ、実写化、そして幾人かの漫画家(なんとAIまで!)により様々な媒体で描かれてきたブラックジャックであるが、それらの論評や評価についてはここで書くことではない…が、先生の描くブラックジャックは、評価の高いOVAやテレビアニメに勝るとも劣らない、ブラックジャックらしさを前面に出した素晴らしいリメイクであった。
    (あえてこう書くが)原典を読み返したとき、人間ドラマとして、キャラクターの完成度として、まさに色褪せない、非の打ち所がない名作であると言える一方、医療ドラマとしては手塚御大の絵柄はややデフォルメにいきすぎている、とする評価を抱く。まさに山本先生はそこにこそメスを入れる余地があると判断したわけである。この慧眼!自己評価!!
    演者や脚本家、あるいは漫画家のエゴなど付け入る余地がないブラックジャックという名作を、自らの筆と作風でもって活き活きと現代に蘇らせる…大仰でなく、山本先生はまさにそれを本作において成し遂げている。
    山本賢治という漫画家により、血色新たに蘇った唯一無二にして最高のリスペクトが込められたブラックジャックを、どうか御一読あれ!
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  • 艦隊これくしょん -艦これ- おねがい!鎮守府目安箱

    「艦これ」運営鎮守府/種十号

    艦これ漫画として不朽の名作!
    2024年7月13日
    全体的に緩い雰囲気ながら、そこはかとない狂気(笑)が実に魅力的な本作。連載当時ですら、とてつもない数のキャラクター達をしっかり個性的に魅力的に、なにより「らしく」描ききっていることに、作者の並々ならぬ愛情を感じ取れる。「好き」を形にすること、出来ることの素晴らしさ…ファンアートとはかくあるべしというお手本のような作品。願わくば、艦これのサービス終了まで続いて欲しかった。ソーシャルゲームの漫画化、あるいは他媒体への展開という難しい題材を、ひとえに愛と狂気によって乗り越えた本作とその作者に最大級の賛辞と敬意を送りたい。本当に、どのキャラクターも魅力的です!
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  • 悪役令嬢転生おじさん

    上山道郎

    初期の頃は好きだったが…
    2024年7月13日
    初期というのは某お絵描きサイトで連載していた時期で、凡百の転生モノとはやや毛色が異なる魅力的な主人公(ヒロイン?)に牽引される日常系なノリが楽しかった。しかし、やはり人気が出るということは一長一短で、正式に連載をするということに一抹の不安を感じていたが、それが見事に当たってしまった。今作には同人的な軽いノリの作風が合っていた、ヒロインの魅力に牽引される、つまりはこまけえことはいいんだよ!的な話運びがテンポよく、歯切れ良く展開されていたのだが、やはり連載版となるとそうもいかないと考えてしまったのか、全体的に説明過多で窮屈な作風になってしまった。これが設定やテーマとの噛み合わせが悪く、どうにも作品全体を堅苦しいものにしてしまっている。この改悪というよりは長期連載を見越した見当違いの「補強」の弊害は結果的に本作がもともと持っていた魅力を大きく減退してしまった。非常に残念である。
  • エイリアン・ハンド

    長尾文子

    怪作!しかし、心を捉えて離さない魅力
    2024年7月13日
    耽美な絵柄からは一見想像できない猟奇的な話に圧倒される。江戸川乱歩の世界観にも似た、猟奇性(グロ)の中に見出される偏愛や妄執…サイコと言ってしまうのは簡単ではあるが、人間の心の闇というものをふと覗いてしまったときの言い様のない倒錯した感覚が心を捉えて離さない。短編群で、どの話も魅力的ではあるが個人的に特におすすめしたいのは『最後の晩餐』。原作ありのお話だからか、完成度や構成、ミステリとしての面白さは抜きん出ており、絵柄との親和性が実に素晴らしい。こちらタイトルの方が良かったのではないだろうか、エイリアン〜というのは耽美淡麗な絵柄から少し浮いてしまっていて(ちょっと安っぽいセンス)、そこだけ少し残念。ただ、どの話も魅力的なので、そこは安心してほしい。
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  • ガンニバル

    二宮正明

    序盤は良かったが…
    2024年7月13日
    グロテスクで迫力ある絵柄と、村の因習、住民の謎というクリフハングする魅力に溢れた漫画であるが、いかんせん引き伸ばしが酷く、テンポが悪い。正直長期連載に耐えるテーマでないと思う(漫画のテーマとして悪いというわけではない)が、そこは商売故に仕方ないのであろう。
  • だれでも抱けるキミが好き

    武田スーパー

    いまいち…
    2024年7月13日
    この手の性に奔放なヒロインは嫌いじゃないんですが、なんか掘り下げやキャラクターの言動(特に主人公)が自分には合わなかった。なんかノリもどこかでみたような感じだし、センセーショナルなタイトルの割には、はっきり言ってしょぼい話。意図的なのか演出なのか、コマ割りや一部絵柄が雑で同人っぽいノリが気になった。
  • 明日カップ・イン

    木村えいじ/小池一夫

    名作ですね、これは。
    2024年7月13日
    主人公(ヒロイン)がただ直向きで一途で、何かに打ち込むことの大変さ、苦難と同時に生き方という意味での「美しさ」「眩さ」を感じ取れます。コーチとの単なる師弟関係を超えた絆…言葉にしてしまうと陳腐ですが、この漫画はその力強い絵のタッチも相まって、情念というか、血の通ったキャラクターの躍動感が凄まじいです。泥臭い、それでいて綺麗事ばかりでない世界観の中、何かのために必死に打ち込む主人公たちに深い感銘を受けます。良作です
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  • デジタル完全版永久保怪異談

    永久保貴一

    読みものとして読む分には…
    2024年7月13日
    不思議な話、不思議な体験、不思議な人々…こうして読み物として読む分には面白い(作者さんや関係者的にはこういった感情もよろしくないのかな?ただ、まあこれは漫画で作者さんだって利益を見込んで描いていることですしね)のですが、こうした内容を身近な人が大真面目で言っていたら…まあ、引きますよね。実際、何人もこの手の話をする方と幸か不幸かお会いする機会がありましたが、皆一様に目が…ね。なので遠い世界、少し不思議なことも世の中にはあるのかもね、くらいに留めておきましょう。そういう意味では読みやすい一作です。
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  • デジタル完全版 永久保怪異談 心霊探訪

    永久保貴一

    信じる信じないは…
    2024年7月13日
    カルトっぽくて自分には合わなかった。カルラ舞うとかな面白く読めるレベルなんですけどね…まあ、信心は自由なので。ただ、同じような思想に傾倒して身を持ち崩した人を何人か見ているので、なかなか読んでいて辛いものがありました。
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  • 怒りのグルメ

    土山しげる

    読み進めるのが苦痛
    2024年5月31日
    この手の漫画にありがちな『共感』は皆無です。
    一応「「値段優先で顧客軽視、品質軽視」といった外食事情への(ありがちな、とってつけたような)警鐘を謳っているのかなぁなどと好意的な解釈もしてみましたが、全てが浅薄で独りよがり、はては私情混じりとしか思えない回まであって呆れ果てました。
    無駄にボリュームがある分、読み進めるのが苦痛になってくるほどです。
    あとリアリティラインが曖昧で、読んでいる側は退屈もしますが混乱もします。今起こっていることは主人公の妄想や逃避なのか、超現実的なことが起きているのか…そのあたりのブレッブレな視点と態度もこの作品の質の低さに拍車をかけています。
    まずをもってその主人公が酷い。小市民的な観点からの感想や考察をするかと思いきや、無知でありながら高慢、無駄に肥大化した自尊心と攻撃性を有しており、それを妄想なのか超現実的な力なのかわかりませんが一方的押し付けて溜飲を下げようとする態度はまさに「老害」そのもの。こんな奴に感情移入出来るわけがありません。
    「敵役」とされている連中も、とってつけたような悪役でこれまたひどい。ただのサンドバッグでしかなく、なんらカタルシスがありません。
    この「読者にカタルシスを与える」というのが、この漫画のテーマであるのでしょうが、全てが浅薄で醜悪な内容だけに、読者としてはカタルシスを得ることもなければ、ただ【小汚いおっさんが毎度不味い飯を食いキレ散らかす】だけの不快な小話の連続と成り果てています。とにかく酷い作品ですので、正直あまりおすすめはしません…
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  • 善良なる異端の街

    松本次郎

    折角買ったのに無料落ち…ツラい
    2022年7月26日
    各話非常に松本テイストに溢れた
    よく言えば個性的、悪く言えば人を選ぶ作品群ですが
    氏の代表作『女子攻兵』が好きな方でしたら
    その独特な世界観、表現、台詞回しに魅了され抜け出せなくなること間違いなしです。
    凄惨な暴力描写は控えめですが、エログロはなかなかのものですのでそこはご注意を。
    冷めているようでいて人間の情念や執着が滲み出るような絵柄と読者からの共感をあえて突き放したような世界観は本当に癖になります。
    無料ですのでこれを機会に是非どうぞ。
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  • 小悪魔教師サイコ

    合田蛍冬/三石メガネ/peep

    まるで日本版デクスター!
    ネタバレ
    2022年2月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 絵柄はシンプルでキャラクター造形もやや模範的に過ぎる嫌いはありますが、なかなか読ませる構成で掴みはバッチリですね。ただ登場人物の少なさと最初の殺人がかなりの主犯格の娘だったので、もう少し外堀を埋めるような追い込み方が良かったのではないかとも感じましたが、サイコパスな衝動性と猟奇、狂気性の演出としては素晴らしかったとも思えます。ただ回想シーンがそのままデクスターのオリジンだったので、なるほど凄いリスペクトをしているのだと感心しましたがオリジナルティとしての意味なら0点です。展開や人物造形的にはあまり長期連載には向いていないとは思いますが、そこは持ち前のリスペクト精神でしっかりシーズン○○とクリフハングしていって欲しいですね。とても面白い作品でした
  • 実録心霊スポット取材記 ばけたん

    ひぐらしカンナ

    面白いですが一つだけツッコミを…
    2021年10月7日
    可愛らしい絵柄でありながら割と重めな話もあり結構楽しめました。陰陽師さんのくだりはちょっとやりすぎ感…さすがに国宝捕まえてあのくだりはまずいかと。まあ、信じるも信じないもの貴方次第、ということで。ただ一つ、これだけは確かだと言えるツッコミ所をば。天井や柱、壁なんかに現れる手形は、制作に携わった大工さんや左官屋さんが「素手」で触れたところです。時間が経つにつれて出てくるので心霊現象と結びつけられやすいんですよね…もしご自宅や旅行先にあって見つけられましても斯様な次第ですのでご心配なく👍
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  • オバケ

    畑中純

    これは名作。
    2021年3月21日
    舞台は山と川のある一田舎地方、そこに住む人々と『怪異』たちのお話です。怪異、妖怪といってもまさにタイトル通り「オバケ」といった超常の、しかしそれでいて可愛げのあるものがほとんどです(水神様などまさに自然の恵と災害の象徴もいますが)。人間たちとの距離感も「畏れ」はあれど恐怖は無い、といった感じで、なんとなく昔の人はこういう風に自然を捉えていたんだろうなあと考えさせられます。登場人物たちの軽妙な語り口も素晴らしい。舞台が舞台だけに人間の介入による自然破壊や文化や慣習の衰退などがテーマの一つに挙げられますが、そういったものを押し付けがましくなく、オバケたちの視点から描かせるのは見事の一言。主人公?の鯉太郎さんのオバケと人間をとりなす《有能なネズミ男っぷり》は大きな見どころです。本当にキャラクター造形が素晴らしいんですよ、この漫画。ヒステリックな水神様とか哀愁漂う川男、文字通り人を喰ったような狸とか『闇の具現化』たる存在にも関わらず愛らしい闇の世界勢とか…挙げていくとキリがありません。そして何より鯉太郎さんの存在!スケベでちょっと抜けていて、でも女子どもにはとても優しい。自らもオバケでありながら人間たちと実に俗っぽく共存し、どちらの視点に立っても柔軟に物事を捉えられる彼は、先にも言いましたがまさに《有能なねずみ男》。それでいて全く嫌味を感じさせない人柄は、キャラクター造形の一つの極みだと思います。往年の名作をこうして読み返すことができて感激です、感謝!※どうでもよい豆知識ですが、なんとこの作品、某大人気漫画に先駆けて『写輪眼』を登場させています。巻数は伏すので是非見つけてみてください(笑)
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  • 禁涙境事件 some tragedies of no-tear land

    上遠野浩平

    内容はともかく挿絵が…オススメしません
    2021年3月13日
    久しぶりに読み返したくなったので電子書籍版で再購入。
    内容は文句無しに面白いんですが、金子一馬氏の挿絵はありません。本当に表紙だけです。
    このシリーズにおいては氏が関わった最後の一冊ですが、残念の一言。以前の作品(殺竜、紫骸城、海賊島)は曲がりなりにも交代した絵師さんの「硬派な」一枚絵がついていますが、それすらありません
    出版社変わってたり、後作は絵師さんが交代しているのでなんか本作のみ割りを食った感じが否めませんね。絵師さんの画風の是非は問いませんが、それ抜きにしても損した気分…素直に古書探した方が良いです
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  • Mコレクション

    日野日出志

    氏の集大成的作品
    ネタバレ
    2021年1月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 三巻ラストの日野作品オールキャストは圧巻
    まさかの西瓜食い損ねた侍や毒虫小僧、そして先生御本人登場とファン垂涎のエピソードです
    また、他作品でも繰り返し提示されるテーマや展開など
    日野先生の漫画家としてのルーツや思想なども伺い知れて
    自分としては何度も読み返したくなる作品ですね
  • 日下部さん

    押見修造

    まさに押見ワールドのヒロイン
    2020年11月1日
    押見氏の真骨頂とも言える、若気の至りの妄想の具現化のような女の子─それは単に可愛らしく媚び媚びな、ある種の自己投影ような都合の良い存在でなく、我儘で、不可解で、時に明確な「醜さ」を持って描かれる。だからこそ妖しい色気、人によっては抗い難い魅力を放つ押見ワールドの女性…この作品はまさにそれのみを切り出したかのような剥き身の一作である。ヒロインでありながら圧倒的な「他者」としての異物感、異質感を最後まで失わず、主人公のようにその暴力的なまでのヒロインの個性の発露を愉しむことのできる人間ならばたまらない一作だろう。個人的にはヒロインの眼、あの「笑顔」に自分は一発で引き込まれてしまった。ピザを頬張る眼、人を見下したかのような、憐むかのような眼、ラストの表情、全てが目を離し難い魅力に満ちている。
  • COBRA マジックドール

    寺沢武一

    魅力的なキャラクター達が織りなす大作!
    ネタバレ
    2020年9月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 人形使いのマリオやシークレット(なのかな?)など
    往年のファンをニヤリとさせてくれるサービスを冒頭からしてくれたかと思えば
    本編は(失礼ですが)作者の年齢を感じさせないセンスの塊のようなキャラクター達が日本離れした美麗な絵柄で描かれ
    大満足のストーリーでした。
    コブラのブレない飄々とした感じは相変わらずで物語の骨子をしっかり支え
    普通のエピソードであればメインを貼れるだけのキャラクターが所狭しと活躍する様は本当に楽しい
    最後もしっかりハッピーエンドと、一本の映画を観切ったかのような心地よい満足感…
    やっばりコブラは最高です。

    以下、雑感
    •キャラクターが若々しい!
    特にザナドゥは一つのエピソードで終わらすのは勿体ないくらいの造形
    •マリオとの再会で、初対面から4年経っていることが明かされますが、こうした作中の時間経過が明示されるのは珍しい
    •敵側が雨宮慶太氏を思い起こされるようなテイストの不気味かつスタイリッシュな造形。非道っぷりも最高
    •台詞回しも秀逸。特に十字架云々の会話は泣けます
    いいね
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  • 薩南示現流

    とみ新蔵/津本陽

    自分の中では最高の剣豪小説の一冊
    2020年9月14日
    迫力満点の作画と読み返しすぎて一言一句覚えてしまったほどの簡潔明瞭
    それでいて格好良い台詞回しに痺れます。
    無駄な展開の一切無い、歯切れのよい物語でスイスイ読めるのに
    とても心に残る登場人物たちの生き様や言葉…本当に良い作品です
    また主人公含め意外とお茶目な言動をしてみせるキャラクターたちは
    殺伐とした時代、土地柄を描いていながらどこか爽やか(あるいは可愛らしいとも)で
    なんというか非の打ち所がない、自分の中では最高の一冊です。
    読み終えたとき、きっと貴方も『蜻蛉』でその辺の棒切れを振り下ろしていることでしょう(笑)
    いいね
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  • 赤い花

    日野日出志

    まさに傑作集!
    2020年9月8日
    日野日出志先生といえばグロテスクな絵柄のスプラッターな展開といった感じだが
    そのショッキングな作風の中には人間の業であったり
    哀しみがしかと描かれている。
    子供の頃は刺激を求めて先生の作品を読み漁ったものだが、その背景やテーマなどから受けるやるせなさや
    どこか物悲しい感覚がいつまでも澱のように留まっていた。
    そしてそういった感覚は、大人になっても再び何度も先生の作品を読み返す牽引力となり、子供の頃は読み取れなかった歴史的背景や時代風景、人間の業などがわかるようになると、よりその作品の悲劇性が高まってくる。
    この作品集はまさにそんな先生の作風、真骨頂をまざまざと感じ取れる珠玉の名編であり、初心者から上級者まで、先生の作品に魅力を感じる全ての人にお薦めできる聖典であるといえよう。
  • 呪いの猫の島

    浜慎二

    古いながらも名作
    2020年9月5日
    とある島にまつわる猫憑きの伝説
    取材に訪れた作家とその家族に襲いかかる恐怖の出来事
    それを祓うことのできる者たちの登場
    …と王道のストーリー
    今から見ればシンプルな構成ですが、さすがにベテラン
    非常に引き込まれる作品となっています。
    特に猫憑きを祓うことの出来る一族のキャラクター造形が面白い
    これは今でも通用するんではないでしょうか
    いいね
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  • ゾンビマン

    日野日出志

    氏の作品の中で一番クール
    ネタバレ
    2020年9月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 生ける屍、異形の身の苦悩というものは日野氏が何度も繰り返し描かれてきたテーマであるが本作はその集大成の一つでありながら大きな変革点でもあると思う。
    それまでは己の非業を嘆き、或いは狂っていくばかりであったこれまでの異形たちとは一線を画するところ、それはゾンビマンが警察官であるということである。
    死して、朽ちて行く身体でなおも心のなかに思い続けるのは家族への愛と警察官としての使命感
    作中の狼男との対決は、失礼かもしれないが氏の作品とは思えないほど格好いい構図であった。
    「残念ダガ弾丸ハ全テ銀製ダ」「私ハゾンビダ二度ト死ヌコトハナイ」
    ベタだが本当に格好いいセリフで、氏の思わぬ一面を見せてもらった感があった。
    願わくばもう少し魔界の者とゾンビマンとの対決を見たかったのだが、王道のストーリーが気恥ずかしいのか、あくまで短編であるからだろうか
    早々に氏の作品の中で多く見られる「異形の者の最期」に落ち着いてしまうのであるが
    ゾンビ(異形)の警察官というある種創作の中ではありふれた存在をここまで印象的に描けるのは氏の実力と重ねてきた年季の為せる業だろう。
    是非ともゾンビマンにはその身体朽ちるまで、人々や愛する者、志を同じくする同僚たちを護ってもらいたかった。
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  • 怪談雪女

    日野日出志

    まっとうな昔話
    2020年9月4日
    時折作者の猟奇趣味が顔を覗かせることはあるものの
    ストーリー自体は至極まっとうな昔話です
    氏の他の漫画作品のような二転三転する展開はなく
    どこか厳かに、現代でみれば尻切れトンボのような印象ももたれるかもしれません
    それほどかなり忠実に漫画化しているとも言えます。
    また、こうした昔話における原初のホラー作品が
    氏のようなホラー漫画の大家たちによって現代に到るまで凄まじい進化を遂げている事を鑑みれば
    ある種、日本的ホラーの根っこの部分をあえて忠実に描き出して見せた氏の思惑や如何と邪推してみたくもなります
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  • ZOMBIEMEN 完全版

    樹崎聖/岡エリ

    ゾンビなのに美しい話
    2020年9月4日
    朽ちた身体を引き摺り贄を求めて這い回る、この作品が持つゾンビにはそんな「生き汚さ」はなく
    滅びゆく肉体の中に「誰かのために」という純粋な思いだけが宿る、そんな綺麗なお話です。
    個人的には前半2話、特に2話は本当に名作で胸を打つお話となっています
    これまで手元にあったのは一巻のみで、今作は完全版ということで漸く他のお話も読むことができました
    グロテスクなシーンはありますが大変美しい話です。是非
  • 保健室の春ちゃん

    穂実あゆこ

    話の構成がお見事!
    2020年9月3日
    往年のホラー漫画ということで懐かしく思い拝読
    当時は「怖くねぇなあ」なんて思いながら
    流し読みしていたんですが、今読むと本当に見事なお話でした
    各作品ごとにラストの余韻が素晴らしく、特に「義理の」家族というテーマに重きが置かれた作品群はとても心に残ります。
    ともすれば単純なお涙頂戴のウエットなお話運びになりがちなものも
    わりとシニカルな主人公たちの言動により「重過ぎない」雰囲気となりそれがラストの爽やかとまで思える読後感を与えてくれます。
    当の子供の年代からしたらちょっと悟り過ぎてて共感が得られなかったかも…
    私見ですが、この作者の方には映画などで子役の演技指導とかしてもらいたいですね
    ギャーギャー騒ぎ立てるだけの過剰演技(漫画表現)でなくストーリーテラーとしての子供の扱い方が見事です
  • 怪奇!死肉の男(オリジナルカバー版)

    日野日出志

    異形の身体と哀しき精神
    2020年9月3日
    日野日出志先生…人を選ぶ絵柄とグロテスクな作風ゆえに
    タイトルからそれだけの作品と思われがちだが
    氏の真骨頂は異形の者がその異形故に苦しむ様にあると思う
    蔵六の奇病などに見られる「哀しさ」が恐ろしくも心を捉えて離さない
    ストーリーや設定は氏の『ゾンビマン』に通ずるところがあるが
    こちらはより人間としての哀しみや悲劇性が強調されていると思う
    (ゾンビマンの方はコンパクトかつ話の転調も含め漫画としての完成度はこちらの方が高い)
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  • THE大市民 大合本 全5巻収録

    柳沢きみお

    押し付けがましい人生論に共感し難い
    2020年9月3日
    主人公(そしてそれを通じて主張する作者)が不愉快
    「こうすれば美味しい」とか「こういう生き方もあるのだ」とかそれ自体は理解し得ることなのに
    選民ぶった独善的な思考や他人を見下す態度が共感を著しく妨げる
    一緒に呑めば他人の粗探し(というか「自分が」気に食わない行動をしているか否か)
    他人の意見や主張、嗜好を尊重しない…などなるほど「独り」がお好きなのも頷けるし
    イエスマンか無知(と勝手に本人が決めつけてる)人間だけとオトモダチゴッコがしたいのだ
    自分の生き方、嗜好に拘りを持つのは良い。だがそうした人生の楽しみ方の上で
    この本は技術書たり得ても人生論足り得ない。
    まあ、反面教師とする分には良いかもしれない
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