このレビューはネタバレを含みます▼
学生時代は僅差だと思っていた要との才能の差が、時間を経るごとにどんどん開いていく。その焦燥感や絶望感と愛情とがない混ぜになった三咲の心の機微が実に巧みに描かれています。なまじっか三咲にも才能があるため、自分がどれだけ努力してもさらにそれ以上の飛躍を遂げる要は、愛情を感じられる相手というより脅威でしかない。これが男同士ではなく男と女であればあるいはそれほど問題とならない障害なのかもしれませんが、男同士であるが故に問題を難しくしている。そのストーリー展開が単なるご都合主義なBLと違いリアリティを持って胸に迫ってくるように感じました。
ちなみに、他の方のレビューにエロシーンが少ないと書かれていましたが、私は個人的に、おげれつたなか先生の作品によく出てくるヨダレや体液ダラダラの長いエロシーンが苦手なので、このくらいでちょうど良いと思います。