日本沈没
」のレビュー

日本沈没

一色登希彦/小松左京

なかなか面白い力作

ネタバレ
2020年11月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 原作と違った2006年版の映画版の人物設定で(特に阿部玲子)、ストーリーの骨子は原作を追いつつ、映画版の設定も適宜使ってます。2006映画と最も違うのは、原作通り日本が完全に沈没するため、主人公は死なずに、原作でも後半のメインだった日本脱出に多くの紙数を割いていること。
原作が書かれたのは日本がイケイケドンドンで海外からいろいろと毀誉褒貶のあった時代なので、祖国を嫌う中二病体質な主人公、南京虐殺など定説のしっかりしてない「日本人の罪」に安直に言及してる安易さはどうかと思いますが、全体としては真摯な作品で、少し荒っぽい絵ともあいまって、この作者なりの骨太なオリジナル「日本沈没」となっています。
ちょっと気になるのは、国土を失い海外に渡る日本人に奴隷化を要求するなど、全般に諸外国が異様に日本に冷たいところですが、「トモダチ作戦」が全面に展開された311の後に書かれていたら、また違う展開になったんだろうと思います。
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