1/2の林檎
」のレビュー

1/2の林檎

こやまゆかり

スッキリするけど、少し考えさせられる

ネタバレ
2020年11月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 試練→乗り越える→試練…の繰り返しで、読んでいるこちらもハラハラ→スッキリの繰り返しです。
ストーリーとしては、王道。主人公と主人公を邪魔する女のストーリーを軸に話が展開していく内容です。

基本的に、主人公「ひかる」が『正義』、邪魔をする女「奈津子」が『悪』な描かれ方をしており、読者(というか、私)も「いけいけひかる!ひっこめ奈津子!」の姿勢で読むのですが、個人的に一点だけ奈津子に同情する話がありました。
奈津子は幼少期から今に続く辛い家庭環境で育っており、母親は奈津子に度を越えた迷惑をかけています。その母親が病気で死ぬかもしれない、処置をしたらまた迷惑をかけ続けられる上、一生看病・介護をしなくてはいけないという中で、奈津子が医師に母親への処置を拒みます。そこにひかるらが、「そんなことするなんてひどい!」と奈津子を非難するのですが、これこそが奈津子がひかるを嫌う理由であり、根源なんだろうなぁ、と思いました。あたたかい家庭環境で育ってきたひかるには、親を捨てるなんて考えられないことなのだと思うけれど、奈津子にとってはそんな綺麗事で済ませられる話じゃないんだと思うのです。それに結局、母親を延命して全てを背負うのは奈津子なのだから、そこはひかるは口だししてはいけないところでは?と思います。さらに「奈津子が面倒みないなら私が面倒みる!」って言っちゃうところも「なんだかなぁ…。」と思います。
結局、奈津子は自分が親にきちんと愛されていたことを思いだし、母親を生かし、様々な執着から解き放たれるのですが…うーーん…奈津子自身も奈津子の母親もやってきたことは、そんなさらっと流せるレベルのことじゃないよ??と思います。
ストーリーの主軸はひかるについてなので、奈津子のこの辺りの話は掘り下げられなかったのだと思いますが、ほんの少しここで拍子抜けしました。

でも、全体的に困難に打ち勝っていく主人公ひかるの姿勢は見ていて楽しかったし、元気をもらえました!とても良い作品です!
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