ぼぎわんが、来る
」のレビュー

ぼぎわんが、来る

川本貴裕/澤村伊智

ぼぎわん怖いけど、もっと怖いのは、、、

ネタバレ
2020年11月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初は、悪霊や妖怪が原因のホラーとして読んでドキドキ。いったいどんな恐ろしい存在なのだろうと。
でも、読んでくうちに作り出したのは、人の恨みや憎しみなのだと分かってくる。特に主人公の男性が、最初は良い夫、良い父親と描かれてたのに、妻の回想では自己満足の身勝手な人間と分かる。読んでて、こういう男が一番タチが悪いと思った。DVや酒癖、ギャンブルとかあからさまに悪くない分、妻は反論できないし、回りに言えない。
日常生活で、少しずつ澱みたいに溜まる苛立ちや失望が、うっ積すると憎しみに変わるのだと。
ラストで発端は、祖母が我が子を殺された祖父への恨みからだと明かされる。どこにでもある平凡な町の平凡な家庭。そこに隠された秘密を、日常に隠して生活する人々が一番怖い。結局、祖父の犯した罪を祖母が呪い、孫の代になって返ったということ?一度、発せられた呪いは完結するまで対象を探し続けるのか。
単純なホラーでなく、読んだ後に色々考えます。とりあえず男性は奥さんに優しく、自己満足でない手助けと支えになってほしい。
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