このレビューはネタバレを含みます▼
最新刊に惚れて、作者買いしました。『匂い』が題材と変わった作品です。うぅ…七々瀬の過去のトラウマが酷すぎて辛い。昔の男の仕打ちに打ちのめされた挙げ句、その事実とその時の匂いが結び付くなんて、忘れようにも忘れられない。まわされた事が恐怖になるなら、セッ*ス自体に恐怖は残らないものなのか、その辺の心理状態はわかりませんが、性欲とトラウマは別物なんでしょうか?…でも、まぁ七々瀬が満たされるならそうなんでしょう。匂いは人間で敏感なものだし、生理的に無理なものは無理。作者様の結び付けが凄いと思います。匂いを克服できるという事は、その相手は七々瀬にとって心を解放出来る人。行きずりに出会った桂が、徐々に七々瀬の凍った心を溶かしていき…七々瀬を身体も心も丸ごと包み込む桂が素敵。多くを語らない七々瀬ですが、トラウマを知った桂がなんとも自然に七々瀬を労り、癒す。誰かに寄り添って、また裏切られるかもしれないと恐怖に怯えなくとも、桂になら全てを委ねられる安心感があります。また恋してもいいんだよ。
七々瀬を陥れたゲスなクソ野郎ですが、訳あってかもしれないけれど、そんなものは言い訳であって傷つけた事に変わらない。水斗なりに救ったのかもしれないけれど、間違ってると思います。何故一緒に逃げなかったんだろう?逃げてもムダな相手?相手の出した条件で、簡単に見逃してもらえると思っての事なのか?理解し難い事です。水斗も七々瀬に惚れてた事はわかりますが…可哀想な人ですね。
七々瀬には、心から幸せになってもらいたいです。読んで良かった。桂の愛が偉大です。