チ。―地球の運動について―
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チ。―地球の運動について―

魚豊

圧倒的視座

ネタバレ
2020年12月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『ひゃくえむ』で熱量と激情を書き散らした魚豊氏が次作に選んだのは、当たり前を疑うことの代名詞とも言える地動説についてだ。政治や学問に関する難解(ある種面倒)な漫画を遠ざけた異世界物・デスゲーム物が跳梁跋扈する昨今において「人が人たる所以」「アイデンティティ」を描くためにあえてその壁に挑戦する姿勢に心打たれた。
漫画としてのクオリティも確実に上がっており、特に出てくるキャラクターが一目で良い奴か悪い奴かがわからないところが素晴らしいシリアスさを生んでいる。
週刊少年誌で連載されるような派手さ・大仰な感動などはあまり見られないだろうが、人間を描くドラマとしてのクオリティは非常に高く漫画好きを名乗るなら是非読んでおきたい一作だと考えられる。
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