愛しい人の幸せのため、悪役だって全力で頑張ります!【初回限定SS付】【イラスト付】
鬼頭香月/八美☆わん
このレビューはネタバレを含みます▼
ストーリーも設定も面白いですし、キャラも個人的には好きなんですけど、ツッコミどころが多すぎて読みながらモヤモヤが溜まっていく一方でした。
悪役に徹して恋人を幸せにしようと目論む心優しく聡明な主人公の話なのですが、そのために働く悪事(足引っ掛けて転ばせたり、教科書隠して罵ったり)がただのイジメでしかなく、自分がされたなら心に傷を負うだろうなと思った程度には酷い行い……そんな悪事を、優しいと評判の主人公はなんと、他国の王女様相手に堂々と決行します。どう甘く見積もっても家族には大迷惑をかける上に、下手したら国際問題でとんでもないことになるのは自明の理……。家族想いで聖女のごとき清らかさと優しさ、そして年齢にそぐわない聡明さ(しかも学年一位の成績保持者)を兼ね備えた女の子って設定は無理があるのでは……?
ってことが気になって仕方なくて話に集中できませんでした。主人公に肩入れするわりに、周囲からの評判を落とす行いばかり繰り返す主人公を止めずに傍観してる親友の女の子にも一言物申したくなるし、常に命の危機に晒され続けている主人公を唯一護る力を持つ恋人を主人公から遠ざけようとするシスコンの弟も、本当に、何故??って気持ちになります。大好きな姉が死んでもいいのか?
そういう細かいツッコミどころを見逃せない人には多分、あまり合わない話だと思います。そういうのが気にならない人なら面白く読めるのではないでしょうか……。主人公の性格がもっと違って、話がコメディ調だったなら私も全く気にならずに楽しく読めていた気がする。もしくはイジメじゃなく別の手段をとるか、予言書の通り行動しないと不幸になるって確約されてて仕方なく、みたいな設定だったなら……。そう思うくらいには、面白い設定のお話だと思います。色々と惜しい。
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