薔薇とへドロ【特典付き】
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薔薇とへドロ【特典付き】

天河藍

傑作

ネタバレ
2020年12月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ サイコパスを描いた傑作。
絵柄が話の雰囲気にとてもマッチしており、逆を言えば爽やかな話は合わないと思う。すみません。
みこは親からの幼少期の体験にトラウマを抱えながら、自分に心酔する大我を強く求めている。
大我に対する言動が全てその裏返しなので、読者はみこの中にピュアなものを見てしまう。(大我を他人とやらせる時も、ゴムを使うように言い、自分だけは生だったり)
しかし彼は本音を語らない。語らず、周りを支配していく。世間の目をくらますためか、付き合う女性は切らさない。
タイトルも素晴らしい。彼にとっての大我=薔薇とすると、ヘドロはプランクトンの死骸が泥に混じったものなので、大我を手に入れるために行った数々の犯罪まがいのこと=ヘドロ、という表現にしたのかな、などと解釈している。
それから、大我に好きだと言う場面、あれは少し戸惑ってしまった。言わない方が大我をコントロール出来るのではないかと悪魔のごとく思ったので。目の前で大我がいなくなるかもしれない恐怖を知り、素直になったのだろうか?
いずれにせよ、それほど長いストーリーでないにも関わらず、小さなセリフにも意味があり、歪んだ愛の形を見事に描いた作品である。
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