陰の間に花【電子限定おまけ付き】
」のレビュー

陰の間に花【電子限定おまけ付き】

ひるなま

切ない😢

ネタバレ
2020年12月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読み作家さんのデビュー作だが、相当な画力で時代物を描き切っていてお見事。
額に生えた角のような瘤のせいで心から慕っていた旦那様に捨てられた(と思い込んでいる)陰間の紫苑と、彼を旦那様から託された薬師の能之の物語。
自分を捨てた旦那様をじじいと呪いながらも、瘤を治して彼の元へ戻ろうとする紫苑が憐れで痛々しかった。瘤は日に日に大きくなり、瘤というよりは鬼の角そっくりになっていったから。
でもその姿を美しいと思い紫苑を愛する能之もまた、身体は重ねても彼の心を手に入れられない。決して向き合わない2人のベクトルが切なかった。
そんな2人の行き着いた先はハピエンというよりメリバであった。紫苑の角はこれからも折にふれ現れるのだろうなぁ。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!