化け猫かたって候
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化け猫かたって候

早寝電灯

1度切の物語(人生)の終りが分からない怖さ

ネタバレ
2021年1月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 丸々表題作品のみ、電子版書き下ろし無し。作家さんのご挨拶、裏表紙含めてP248。エロシーンは99%無しでお話重視です。
化け猫と人間の異種BL…うーん、LOVEにいくまでのお話って感じでしょうか。 イチャイチャは殆ど無いですが、講談師が猫に見えてしまった無料立ち読みからの後は…………………人間社会に溶け込んでいる化け猫社会では化け姿を人間に見られると制裁されてしまう。しかし生涯添い遂げる誓いをすればお互い生きられる。何とも無理みな設定ですが、それによって150年余り生きた化け猫、喜八が初めて連れ添いを作る、しかも人間の男を。生涯の伴侶とはいっても運命共同体の同居人としての生活が始まっただけ。しかし、働くために生きていた草太にとって極々当たり前の人間としての生活やそれを担う喜八に慕うようになる。喜八も自分が語る物語で生き返った草太の感情も生き返り愛しさを感じる。しかし草太は人間であり短き寿命、それは自分達の物語を残して先にタヒんでしまう怖さ。それならばいつでも手離せるように、と思っていた喜八だったが、手離したくない愛おしさと葛藤をする。そんな喜八を受け止める草太は…「初めて化け猫の姿を見た時は怖くて怖くて…俺のことが怖いならずっと怖いと思ってて、最初あなたのこと怖かったみたいに、良くみたら怖くなくなるかもしれないから、それまで怖いままでいて。俺もずっと怖いんだ。」そう伝えて喜八と結ばれる。
私たちが今この瞬間、当たり前ように過ぎる一瞬一瞬の時間はいつ終わるか誰にも分からない。大切な人との時間も保証なんて無い。それは恐怖でもある。でも私たちは明日はあるはずだと無意識に思って明日へ手を伸ばすから今日がどんなに辛くても逆につまらなくても踏ん張ろうとする。
なんかそんな風に感じたお話でした。 ………憶測ですが、過労で倒れた草太に喜八は元気の素(生気)を口移ししたことで草太は寿命が延びたのでは?これまた憶測ですが、時折に喜八が相性がいいと言うのは、お話の最後に草太が2匹の猫(自分達)を見たのは未来の2人かな。輪廻転生みたいな。 とても大好きなお話なので今後も何回も読んで涙ぐむと思います。
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