このレビューはネタバレを含みます▼
高身長に頭脳明晰、顔面偏差値も高いモテ男なのにヤンデレな彼氏・莉音に溺愛される主人公・千冬。こんな風に愛されたいし捕食されたい!と羨む女性は私だけではないはず。特に莉音は個人的にこれまで数多く読んできた少女漫画の中でも、1、2を争うほど大好きなキャラになりました。一見、クールで他人に興味関心なさそうな近寄りがたい雰囲気なのに、部屋の壁は彼女の盗撮写真、棚にも盗撮アルバム集がギッシリ、貸したマフラーはジップロックに入れて勝手にコレクション化、本人を前にすればキスとハグの嵐、終いには「だいすき♡」と色気ダダ漏れでデレる始末。嫉妬深く独占欲が強い上に息を吸う様に盗聴盗撮するストーカー。現実にいたら「お巡りさん、ここです!」ですが、漫画としてなら最高の好物で悶絶。大満足です。島袋先生の作品は本作が初読ですが、どこか80年代を彷彿させる可愛らしい絵柄に見事クリーンヒット。そんなタッチもあってか、度を超えた変質者感や一方的な独りよがり感はこの莉音になく、ちゃんと千冬と千冬の家族を尊重している姿勢がむしろあざと可愛くて好感を持てました。作中「俺は寂しいんだけど!」「全部、俺と一緒に?」の台詞からも分かる様に極度の寂しがり屋で承認欲求が強く、身も心もどっぷり愛し愛されたい願望に終始、母性本能をくすぶられ、二つ結びがトレードマークな千冬以上にウサギ感炸裂。まあ、素直で染まり易い女の子って、こういう変態に捕食されがちですよね。いいぞ、もっとやれ。そんな黒い満足感に応えてくれる様に、ちょっぴりエッチな展開がテンポ良く描かれてゆきます。彼女の愛を独占する為なら、酔っ払った演技も朝飯前、元カノを使って嫉妬させ、自分の指までわざと切って振り向かせちゃう。その分、自分達を脅かす存在には手加減ナシ。シスコン兄にキス現場を目撃させ、痴漢はフルボッコ、執拗な元カノも家族もろとも左遷(転校)させ、千冬を愛するあまり他の女子を代用品にしてきた保健医もSNSで公開処刑。そうして一悶着あった後の極めつけが「ね、俺がいちばんでしょ?」これです。ヤンデレ男子の本心って、まさしくこの言葉なんだと思います。また、千冬側の家族は描かれたものの、莉音側は全く描かれなかった所も、彼の心の闇的な寂しい翳りを際立たせてて良かったです。悲しいかな、完結されましたが、もっと連載化されてほしかった...。まだまだ続編が、重い愛が足りない!