このレビューはネタバレを含みます▼
無料の3巻まで読んだのち原作本編既読。
入社して間もなく先輩にセクハラを受けて抵抗したために、嘘の悪評を流され会社での人間関係の構築を諦めたヒロイン。誰にでも無表情、塩対応ゆえに「氷鉄の女」と揶揄されるように。
6年そんな人間関係で、多すぎる仕事にも疲れたヒロインが退職を決意した矢先に、モテモテだが優柔不断の流され気質な同期のヒーローが、先輩たちに強制され、賭けの対象としてヒロインを落とすよう指示されているのを立ち聞きしてしまう。入社時からヒーローにストーカー一歩手前な片想いをしていたヒロインは、最後の思い出作りになるとヒーローの嘘告白に被せ気味に乗っかるのであった。
という、他者と壁を作ってきたが故にNOが言える女と、優柔不断ゆえにNOが言えない男の嘘告白から始まる恋の物語。
賭けに結局乗っかって告白してきたヒーローに、普通なら傷ついたり、怒りそうなところで、ヒロインは冷静な分析やツッコミ入れているところが面白いのだが、裏返せばヒロインの諦めの心境も感じ取れるために切なさもでて、最後までヒロインを応援したくなるようにできているのが上手い。
原作はムーンライトノベルズで公開されているR18小説だが、漫画版はR18部分を除いたものになるそう。漫画→原作と読んだ感じでは、ヒロインの性格や会社での立ち位置がわかりやすいようにエピソードが足されてたり、原作ではサラッと流したエピソードをうまく拾って広げていたりと、小説の漫画化としては上手いアレンジが効いている。原作もヒロイン一人称でテンポが良く、媒体による表現の違いが楽しめるので、興味のある方は両方読んでみるのもオススメ。
ただ漫画版だとヒーローが情けない可愛いワンコ系に見えるぐらいで済んでるので今のところ不快感は薄いが、小説版のR18描写も含めて見返すとヘタレクズ男だったのが残念。女性と交際してもすぐ別れるが28歳になるまで女が切れたことはない。自宅に女を連れ込んだことはないが、その割にHの際は手慣れた巧者。そこまでの交際遍歴もちだが、実は恋愛童貞。大学から三ヶ月ペースで別れたとしても過去三十人以上と付き合ってて、結局誰も好きにならず、最後に振られまくってるのに自己反省なしで、その後も同じこと繰り返してきた28歳とか人としてダメすぎる。ヒロインを好きになって優柔不断を脱するがその歳ですぐ変われる訳がない。お話だからこそ成り立つキャラだな。