このレビューはネタバレを含みます▼
大切な人がいない日常に慣れてしまう自分が、変わってしまう自分が嫌だと苦しむ春希の姿にとても共感できました。現実と向き合わず盲目的に過去を生き続ける春希の方こそが死者なんじゃないかと思うほどでしたが、最後にようやく人間らしさを見せてくれました。死の淵へと沈んでいく康を抱きしめて一緒に生きたいと必死に足掻く春希のイラストは圧巻でした。そして他の乗客たちにも悲しい現実があり、それぞれのドラマがありました。みんなが幸せになれたわけではないけれど、彼らの最後の選択もわかるような気がします。逝く人遺される人、生きること死ぬこと、重いテーマですが深く考えさせられる作品でした。