貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!
」のレビュー

貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!

大岩ケンヂ/小鳥遊 郁/椋本夏夜

タイトルと内容が合ってない

ネタバレ
2021年2月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻がすごいシーンで終わったため、原作を最後まで読んできました。それを含めての感想です。

まず、タイトル通り。流行りのテンプレに合わせてつけたのでしょうが、確かに婚約解消はするものの平民落ちによる結果論であり、婚約者は最初から最後まで出てきて、ツンデレながらも甲斐甲斐しく主人公を助け、身分差による困難はあるものの、ライバル(らしき人はいますが、主人公の一方的な思い込みによる描写が多く、申し訳ないけど読んでてライバルキャラとしては見れませんでした)が現れることなく、ほぼストレートに結ばれます。故に「こんなに相手からハートマークが飛んできてる状態で、婚約解消? してるの?」と、ずっと疑問符がついていました(もっとも、主人公は婚約解消され、別れたと思い込んでいますが)。

どちらかというと、物語の主題は、チェンジリングによる、偽りの家族との絶望的な別れと、本来の家族との間の、ギャップと苦悩と葛藤と、それを乗り越え、たどたどしくも、家族として打ち解けるまでの物語なのではないかと(弟の対応が酷いと他の方のレビューでありましたが、これまで姉だと思って慕っていた相手が別人で、なおかつ全く知らない人間が姉としてやってきた訳だから、当然の反応だとおもいます、私はそこまでおかしいとは思いません)。
また、一人の純粋な女の子が(地味ではありますが平民の立場から見ると、貴族として育つ中で身につけた知識や魔法や僅かな資産という名のささやかなチートや、妖精の協力を得ながらも)根本的には自らの努力で、一人前に成長する物語なのではないかなと思います。

故に、理由なくヒロインがちやほやされたり、逆ハーレムになったり、チート能力開花して「ザマァ」が好きな人には、致命的に合いません。私はどちらかというとザマァ否定派なので、この辺りはかなり好感度が高く、評価しております。

ただ、ちょっと情報の出し方が悪いなーと思ったのは確かです。チェンジリングの片割れや、偽りの家族の兄の行動が、突飛というか、脈絡が無いというか、結局何がしたいの? となってしまいます。
特に兄は(作者様がたぶん、こうしたいのではないかという意図はわかるのですが、圧倒的に描写不足で)最終的に両親以上に最低な、「日和見カス太郎」な印象になってしまって……。

漫画版では、その辺りの描写を、丁寧に補完していただけると嬉しいです。
いいねしたユーザ37人
レビューをシェアしよう!