【全1-6セット】それなりに幸せです、たぶん 美しき公爵の盲目的執愛【イラスト付】
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【全1-6セット】それなりに幸せです、たぶん 美しき公爵の盲目的執愛【イラスト付】

イチニ/ウエハラ蜂

みんなが切ない

ネタバレ
2021年2月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ ヒーローもヒロインもライバルの王女も、みんなが切ない。そして、悲劇を作り出したのは、王様であり、その犠牲にみんななってしまった。
王女は、自らの手で愛する人を殺めてしまい、元々おかしかったのが、さらに壊れてしまう。
そして、血ゆえに、ヒロインに過度に執着するヒーロー。そんなヒーローがうっとしい恋愛感情サバサバ系のクールなヒロイン。ヒーローとヒロインは、足して二で割ったらちょうど、普通の恋愛感情になるのに、偏りすぎてて、どっちもちょっと哀れ。
赤ちゃんのように、片時もヒロインから離れたくないヒーローに対して、クールで程よい大人の距離が好みのヒロイン。
そして、ヒロインに受け入れられて幸せなヒーローが、自分と同じように堕ちるのを見たいという歪んだ王女の思いに、崇拝者や王様がのり、ふたりを引き裂いてしまう。
そして、満身創痍のヒロインは田舎で二年をかけて、立ち直っていく。ヒーローは、心が満身創痍ながらも、表向きは普通に暮らしているものの、影では、王様と王女とその崇拝者を排除しようとする王太子に協力していく。兄に三年待ってやれないかと、打診されるも、拒絶したヒロインだったが、目の前に現れたヒーローをあっけなく、赦し受け入れる。執着は、ヒーローの方がすごいけど、人を受け入れるという愛情深さはヒロインの方が上だと思う。言葉や態度に出してはいないけど、実はひどく寂しさを孤独を感じていたヒロイン。そして、ヒーローも自分の執着心や不安感を優先するのではなく、ヒロインの幸せを優先して考えるようになった。そんな二人が再婚し、子供も出来たが、ヒロインは田舎に留まったままに、十数年が経つ。
その距離感がヒロインには、良かったのだろう。首都の煩しい人間関係に悩まされることもなく、幸せに暮らしたヒロインだったが、子供がヒーローに対して冷たいことに気づき、首都に帰ることを決意。
ヒロインに激しく執着するだけで、守れもできず、孤独にも寄り添えなかった過去を思えば、十数年、ひたすらにヒロインと離れてることに堪えたヒーローは、それでやっとヒロインの苦しい過去とトントン拍子だろう。やっと、二人が各々に味わった苦しみが同等になり、一からまた新しいスタートになると思う。王女のその後のエピソードも良かったけど、一番の加害者の王様のその後の制裁でもされたエピソードが欲しかった。一番の諸悪の根元なのに。
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