狼陛下の花嫁
」のレビュー

狼陛下の花嫁

可歌まと

さらっと適度に楽しく読める

2021年2月19日
全体的に良くも悪くも軽めで薄めの内容ですが、なんか気乗りしない…なんだか読む手が止まる、ということはなく、さらさらと続きを読んでいける作品でした。

反面、手が止められない、どんどん読んでしまう、引き込まれる、というような、「面白い!」と言い切れるような作品ではありませんでした。


内容がライトな主な理由は、
・若き王とその臨時妃
・とにかく王が優秀すぎて恐れられている
・その王は子犬っぽい面もある
という設定以外の深い設定や内容が感じられないことにあると思います。

一国の王とその妃の話だというのに、具体的な王政についてや、周りの人たちの考え方や方向性についての描写がなく、
陛下に至っては冒頭などで部下を叱責している場面はありますが、それらしい言葉が連なっているだけで、
何がどう悪く叱責し、どう導こうとしているのか、という点は一切ありません。
彼自身や彼の側近たちがどう優れているのか、というのがわからない。
何故かいつも頗るタイミングよく危険を察知し動けてしまう、「優れている」というわかりやすい表現で、読み手が作品の中からそれを感じる描写がないです。
その分、重苦しい悲しさもないので、疲れている時でも読めるのは良い点だと思います。


少女漫画なので、国や情勢や政に関して内容が濃い必要は無いのかもしれませんが、
同じ白泉社から既刊している王国ファンタジー系が、比較的どの作品もその点についても内容が深いものが多いので、
これもそうなのかな、といった期待が大きかった分ちょっと残念でした。


単純に、王と臨時妃という設定とその2人が微妙にすれ違いながら結ばれる、という内容以外はないように思いました。

そのすれ違い方もちょっと無理があるのとやり口がお決まりで、読む方までハラハラしたり胸がきゅっとなるようなものではなく、
数歩引いて読んでしまえるので、少女漫画特有のドキドキを楽しむにもライトでした。

何か暇つぶしに読みたいな、どれかないかなという時には良いですが、率先して待ち望んで買うことはないかなと思います。
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