ミッドナイト・ウエディング
」のレビュー

ミッドナイト・ウエディング

ソフィー・ウエストン/柴秋尾

二人の心が近づく過程が何か少し足りない感

ネタバレ
2021年2月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 期間限定読み放題。
資産家の私生児として生まれ、母の死後、父に引き取られたヒロイン。20歳の時に父も亡くなるが、その遺産の中身の主たる会社はヒロインが相続者として指名されていた。それを知ったヒロイン父の養女でヒロインの姉に当たる夫婦は怒り心頭。姉の夫は会社を手に入れるべく、ヒロインに自分の部下との結婚を迫る。
結婚するか25歳になるまでは遺産に手をつけることもできないヒロインは、権力を行使してくる兄夫婦らへの対抗手段を見出せず、一人逃げ出し変装して配達の仕事やバーの演奏家などで食い繋いでいた。
そんなある日災害復興を支援する会社を経営するヒーローと出会い、兄の追っ手から二度も助けられる。遺産以外の事情をヒーローに話すと、ヒーローは自由になるために自分と契約結婚をするか、また逃げ出して自由を奪われた生活を続けるかという二択をヒロインに迫ってきて…。
というはじまりの契約結婚もの。
普通会ったばかりの人間に、事情を聞いて同情はしても結婚しようとまでは普通言えないので、ヒーローがヒロインに好意をもってるのは一目瞭然。なのだが、例によって名うてのプレイボーイらしいのに自分の恋心に鈍感で、友人に指摘されるまで気づかないヒーロー。ハーレクインあるあるだけどさ。ほんとありすぎてまたか感がすごい。まあ、ヒーローをよく知る友人の指摘であっさり認めた素直さは買おう。序盤も失礼な物言いの謝罪をしてたり、会ったばかりのヒロインを助けたり、ともすれば鬱屈しそうなヒロインをあえて煽って引き上げたりと、目端もきき、他人に配慮もできそうなヒーローなのに、なんで自分の恋愛感情だけはわからない設定なのか。何か欠点があるほうが人間味は出るって話なのかもしれないが、こういう欠点は逆に人間味がなくなると感じるのは私だけ?
ヒロインもあっという間に身体を捧げるほど恋に落ちてるし、よい要素も転がってるのに全体を通して見ると、こと恋愛部分に関しては間が微妙に飛ばされた感があって大満足とはいかなかった。
原作を読むとまた違うのかな。しかし、なんとなく原作は不快要素マシマシになりそう。
漫画家さんはこれが初読みだが、カラーよりはモノクロのほうが雰囲気があってよかった。ヒロインの変身の描き分けもよかったが、脇のおばさま方の絵も味がある。子供絵も可愛いし、次が出たらまたチェックしてみたい。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!