置かれた場所で咲きなさい
」のレビュー

置かれた場所で咲きなさい

渡辺和子

心に染み入るお言葉

ネタバレ
2021年2月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 以前テレビで紹介されていたことが本書を知るきっかけとなりました。タイトルが印象に残り、いつか読んでみたいという思いを遂げることができました。

著者の渡辺和子シスターがかつて苦境に立たされた時に、ある宣教師から渡された英詩の冒頭一行が「Bloom where God has planted you」(神が植えたところで咲きなさい)とのことでした。つまり置かれたところが今の自分の居場所なのだと告げるもので、その生き方を心に深く刻んで大切にされてきたことがわかりました。しかしながら「どうしても咲けない日があります。その時は根を下へ下へ降ろして根を張るのです。次に咲く花がより大きく美しいものとなるために。」という余白を残してくれる文章も心に染み入りました。
宗教的な深遠さには触れることができませんが、今まで辞書を引いても解せなかった「摂理」という言葉の意味を「与えられたチャンス」と捉えれば良いことが目から鱗が落ちたような気分です。本書には心豊かに生きていくためのヒントとなるような言葉が沢山散りばめられているので、日めくりカレンダーに欲しいぐらいでした。
1936年2月26日の雪の降り積もる朝にシスターのお父上がご逝去されたことを本書で知りました。シスターが9歳のその日、目前で起こった凄惨な光景が思い浮かぶようで筆舌に尽くし難いです。昭和の大クーデター ニ・ニ六事件の朝で、85年前の今日という日に感慨深いものを感じます。
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