ブライダル・ロマンス Ⅲ 悲しみのフィアンセ
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ブライダル・ロマンス Ⅲ 悲しみのフィアンセ

ダーシー・マグワイア/真原ゆう

悪くはないが、何かが物足りない

ネタバレ
2021年2月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 期間限定読み放題。
ウェディングサロンを営む一家の三姉妹の恋を描いたシリーズの完結作。今作はデザイナーな末っ子がヒロイン。
とある経緯で妹を亡くした過去をもつ、有名カメラマンのヒーロー。世話焼き気質のヒーローは、失恋で酔って心を乱したヒロインを見捨てられず、ヒロインのプロポーズを仮に受け入れる。
酔ってプロポーズの経緯を忘れていたヒロインだが、婚約者としてヒーローと共に過ごすうちに元気を取り戻し、ヒーローもまた価値観の近いヒロインとの時間に心地よさを覚えて惹かれていく。
しかし、ヒーローには母親が選んできた本当の婚約者がいたのだった…。
ヒーローがヒロインを見捨てられなかった理由はあとで出てくるのだが、それでもプロポーズを受けて指輪まで渡すのはやりすぎなんじゃないだろうか。しかも婚約者がいての行為なのがまた。わかったときに余計ヒロインが傷つくとか思わないんだろうか。
本物の婚約者のことも親が喜ぶからと婚約したとか、婚約者とは価値観がズレまくっているエピソードを描いて、ヒーローがヒロインに心移す理由付けがされていたが、そういう婚約してたあたりで、ヒロイン振った元カレと似たり寄ったりな人間になってるような。ヒーローも見た目と肩書き、親の満足で選んでたって話だよね。ヒーロー婚約者側も完全肩書きと財産目当て。ヒーローに婚約解消を切り出されて、見切りが早いのだけは良い女だったか。格別好きでもない男に縋るほどプライドは低くないし、婚約解消ごときで傷などつかない自信があるんだろうなあ。その自信は凄い。こういう女性が本気の恋に落ちるところを書いてくれたら面白そうだが。
明るい絵調で、問題が起きてもあっけなく解決。価値観の合うお似合いの二人がくっついてのハッピーエンドで読後は悪くないが、代わりに何か物足りなく感じるところも。
ヒーローに婚約者がいても特別揉めることもなかったし、鬱っぽくなりそうなエピソードをサラーっと流されたので重みが足りない? 二人の交流も濃い描写とまではいかないし。その辺が物足りない理由かなあ。
ヒロインが復縁求めてきた元カレをキッパリ振るとこが良かったが、それも直後の展開でヒーローに縋ってただけっぽくなってしまったのも残念だった。
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