わだつみの嫁取り
」のレビュー

わだつみの嫁取り

文善やよひ

時代を超えて共に「生きる」

ネタバレ
2021年3月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人魚(わだつみ)×人魚に見染められた男・キヨ。
人外が苦手と言いながらも、この作家さんの別作品を読んでとても良かったので、こちらも読んでみました。
正直触手も得意ではないですが、読んでいるうちに話に引き込まれ、人魚(名前がないのが切ない)が可愛くて仕方なくなりました。
キヨが求める「死」も、実は簡単に手に入るものだったということがわかって困惑しましたが、キヨの人魚に対する誠実さが見てとれて、ものすごく感動しました。
きっともう会えないと思っていた干支一回りの時間を超えてもまた再び会えた喜び、人魚にとってはとても大きいものだったと思います。
冒頭部分では、そのシリアスさがうまく隠されていて、人魚の天然ぽさでコミカルに描かれていたのも良かったです。
あとからわかる事実に困惑しながらも、人魚と生きることにしたキヨの意思が切ないしかっこいいしで涙が止まりませんでした…
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