豚飼い王子と100回のキス プチキス
」のレビュー

豚飼い王子と100回のキス プチキス

海野つなみ

あの理不尽なアンデルセン童話が…!

ネタバレ
2021年3月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作品、何が面白いかというと前半部分はほぼ原作通りなんです。ドラ◯もんばりの不思議アイテムが登場したり、お姫さまの「◯がおかしいわ!」という台詞もそのまま。なぜこんなアイテムが出せるのか、その代金はどうしているのか、その世界観はさすが海野先生、発想が面白すぎてスゴイ!と思いました。
私もこの物語を幼少の頃に読んで、あまりの結末に不満を抱いたのを思い出しました。カエルを投げつけるという蛮行を働いた他のお姫さまもいたのに、作者が違うばっかりに…、違うか。
でも大きくなった今、好奇心や初めて体験する感情に溺れたお姫さまの気持ちはわかるような気がします。無機質なようだけど美しいラブシーンは見ていてちっともいやらしくなく、こちらも侍女たちとドキドキしながら見守っているような気分になります。
こんなイケメンの王子さまとだったら100回のキスにも挑戦してしまうかも?王子さまの方も、最初の思惑と違って「賢者モード」になってしまったり、優しさを捨てきれなかったり、童話の続きのはずがリアルな人物描写で説得力がありました。
かつて嫌な読後感を味わった童話が、ちょっぴりエロティックだけど美しく面白いラブストーリーに様変わりしていて、お姫さまと同じように何だか救われたような気持ちになりました。
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